[<食の泉>(31)人口という言葉/食べることの重み 示唆]
(河北新報 2015年06月09日)
「人口」という言葉は、実に言い得て妙です。
人口には、人の口に上るということで、「世間のうわさ」という意味も
ありますが、「人の数」という意味もあります。
ここでは、後者の方に着目しましょう。
人の数を、「口(くち)」をもって表すのは、食べることが人間にとって
本質的に重要であることを示唆しています。
むろん、食べると言っても、単に野にあるものを食するのではなく、意識的に
食料を調達することを含みます。
人口問題は食料問題にほかならず、そして、食料問題こそがあらゆる社会
問題の根底に存在していると言えましょう。
人口や食料に関しては、いくつかの理論や学説があり、また、移民、貿易、
日常生活なども、その背景には食に関することが見え隠れします。
今回から6回は、食をめぐる社会問題や経済問題について、考えてみたいと
思います。
(宮城学院女子大教授 田中史郎=経済学)
http://www.kahoku.co.jp/special/spe1158/20150609_01.html