[心臓手術前の抜歯は合併症のリスクを高める! 医療現場の“常識”覆す?]
(IRORIO 2014年03月07日)(松島 かれん)
難易度にかかわらず手術には合併症を伴うリスクがある。
しかし、心臓の手術前に炎症を起こした歯を抜くと合併症のリスクがかなり
高まることが、新たな研究でわかった。
通常、心臓手術を行う医療現場では、術後の心内膜炎を予防する目的で、
患者に炎症を起こしている歯があれば術前に抜くのが基本なのだという。
というのも心内膜炎は心臓壁の内膜である心内膜で炎症が起こるという
もので、敗血症などにつながる可能性があるからだ。
これに対し、術前の抜歯がかえって合併症のリスクを高めるとして警鐘を
鳴らすのは、米国ミネソタのメイヨー・クリニックのマーク・スミス医師だ。
研究を主導したスミス氏によると、心臓手術前に抜歯した患者の8%が心臓
発作や卒中、腎不全などの合併症を経験し、3%が術前に亡くなっているのだ
という。
研究に参加した心臓外科医ジョセフ・デアラニ氏は「炎症を起こした歯を
心臓手術前に除去することは必ずしも最良の選択ではない。患者ごとに病状と
抜歯のリスク・効果をよく分析する必要がある」と話している。
研究チームは、術前の抜歯は世界中の現場で”慣例”となっているとして、
胸部外科の専門サイトに研究結果を発表し、医師らに注意を喚起している。
http://irorio.jp/karenmatsushima/20140307/117852/