最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学
テーマ: 『本当は怖い口内炎~恐怖の体内爆弾~』
I・Jさん(女性)/49歳(当時) 主婦
韓流ドラマにはまり、ビデオに録画し、深夜まで1人で楽しんでいた
I・Jさん。
そんなある日、口の中に染みるような痛みが走り、鏡でみると、左の頬の裏に
口内炎が出来ていました。
市販のビタミン剤を飲んでみると、口内炎は消え、すっかり元通りになり
ますが、やがて新たな異変に襲われます。
<症状>
(1)口内炎
(2)大きくなった口内炎
(3)1週間後、口内炎が消える
(4)食欲がわかない
(5)半透明の物体を吐く
(6)首のただれ
(7)背中のただれ
<病名>尋常性天疱瘡(じんじょうせい てんぽうそう)
<なぜ、口内炎から尋常性天疱瘡に?>
「尋常性天疱瘡」とは、体中の免疫機能が異常を起こし、全身にただれや
水ぶくれが出来る皮膚病。
重症化すると死の危険さえあります。
なぜ免疫機能が異常を起こすのか、その原因は未だわかっていませんが、
現在、患者数は約4,000人。
40代から50代の発症が1番多い病気です。
そして発症すると、最初に異変が現れることが多いのが口の中。
I・Jさんに最初に現れたあの口内炎こそが、この病の代表的な症状なのです。
そもそも口の粘膜をはじめ、人間の皮膚はブロック塀のように細胞が積み
重なっています。
そして塀が壊れないように、細胞の間には接着剤の役割を果たす物質があり
ます。
ところが、この病気にかかると、異常をおこした免疫細胞がその接着剤を破壊
してしまうのです。
すると、細胞同士がバラバラに離れそのすき間に体液が流れ込み、水ぶくれが出来ます。
これが尋常性天疱瘡で出来る口内炎の正体。
ぷっくり膨らんでいるのがその特徴です。
ちなみに多くの人が1度は体験している、俗に言う口内炎(正式には
「アフタ性口内炎」)は、まん中が潰瘍のためにくぼむのが特徴です。
しかし、不幸なことI・Jさんは、その違いに気づくことが出来ませんでした。
しかもこの病気、初期の段階では免疫機能の異常が軽いため、口内炎も数日で
治ってしまいます。
つまり病気のサインに気づきにくいのが、この病気の落とし穴。
放っておくと、口から全身へ免疫機能の異常が広がり、恐ろしい事態を招くの
です。
そして襲ってきたのが、あの食欲不振でした。
この時、食道の粘膜は病に冒され、ただれていました。
そのため、胸のむかつきが起きていたのです。
そして、I・Jさんが吐き気に襲われた瞬間、ただれた食道の粘膜はすべて
はがれてしまい、口から出てきてしまいました。
そして暴走した病は、ついに全身の皮膚に襲いかかったのです。
入院後、彼女は、ただちに免疫異常を抑える処置を受けました。
そして医師たちの懸命な治療の結果、無事退院。
肌はすっかり元通りになったのです。
「尋常性天疱瘡」は、発見が遅れると、10%の人が感染症で命を落として
しまう恐ろしい病。
だからこそ、最初の症状である口内炎の見極めが大切なのです。
「尋常性天疱瘡で命の危険にさらされないためには?」
(1)口内炎を軽視しない。
(2)大きさが5mmを超える口内炎、つぶれたりめくれたりする口内炎、
治ったり出来たりを繰り返す口内炎には要注意。
(3)こうした口内炎がある時は迷わず皮膚科や口腔外科で検診されることを
お勧めします。
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