[金沢医科大瀬上教授局所麻酔で3カ所切除]
(北國新聞 2013年8月28日)
金沢医科大の瀬上夏樹教授(顎口腔外科学)は27日までに、口を大きく開けた
時にあごが外れる「顎関節脱臼」の新しい手術法を考案した。
同時に3カ所の部位を切除することで再発しにくく、局所麻酔で体への負担が
少ないのが特長。
顎関節脱臼は高齢者の摂食障害や誤嚥性肺炎の原因とされており、再発を防ぐ
ことで生活の質の向上が期待される。
顎関節脱臼のうち、顎関節が毎日のように外れる「習慣性顎関節脱臼」は、
手術による治療が必要とされる。
下あごの骨の付け根とそれにつながる「側頭骨」、両方の骨をつなぐ軟骨の
「円板」がうまく連動しないため、食事やあくびなどで口を開けると、あごが
外れた状態となる。
これまでの手術では側頭骨の一部である「関節結節」だけを削っていた。
この方法では、1~2割が再発するという。
新しい手術法では、耳の前の部分を約2センチ切開し、下あごの骨の付け根
部分と円板、関節結節を同時に切除する。
3カ所を切除する新手術法はこれまで13例で、現在のところ、再発は報告
されていない。
全身麻酔を用いた方法は体に負担が掛かり、術後に肺炎や心不全を起こす
恐れがあるため、高齢者が敬遠しがちだったが、新手術法は局所麻酔に加え、
手術時間も1時間半ほどで負担が軽い。
認知症の高齢者があご外れの症状を訴えることができずに悪化させるケースも
増加しており、瀬上教授は「再発しにくい手法であり、症状に悩む患者や
家族に手術による治療を考えてほしい」としている。
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/HT20130828401.htm