食事でかむ回数が多い人では糖尿病になりにくい | アクティブエイジング アンチエイジング
[食事でかむ回数が多い人では糖尿病になりにくい 滋賀県長浜市の住民研究]

(あなたの健康百科  2013年6月13日)


食事の際のかむ回数と糖尿病になるリスクに関連があることが、わが国の研究
から分かった。

京都大学大学院医学研究科の家森正志・助教(口腔外科学)らは、滋賀県
長浜市の住民を調査。
かむ回数が最も多いグループでは、最も少ないグループに比べて糖尿病
リスクがほぼ半減していたと、6月5日発行の米科学誌「PLOS ONE」
(電子版)に報告した。



<40~74歳の6,827人を調査>
かむ回数が足りないと口の中の環境が悪くなるほか、糖尿病の発症を抑える
栄養素の不足につながることが指摘されてきた。

また、かむことが食後に血糖値が上がることを改善すること、食事の時間が
長いと食欲を抑えるホルモン「GLP-1」などの分泌が増えることなどが報告
されている。


家森助教らは、長浜市で行われている遺伝情報に関する研究「ながはま0次
予防コホート事業」に、2009年7月~2010年11月に登録された40~74歳の
6,827人(男性2,283人、女性4,544人)を対象として、かむ回数と食事時間が
糖尿病に関連するかを調査した。
かむ回数は被験者に専用のチューイングガムを1分間かんでもらって判定し、
食べる速度のデータは本人へのアンケート(「速い」「普通」「ゆっくり」の
3段階)から集めた。

男性のうち177人(7.7%)、女性のうち112人(2.4%)が糖尿病と診断。
男性と女性で大きな差が見られた。



<男性は食べる速度「ゆっくり」でリスク62%低下>
検討の結果、男性では食事の際のかむ回数が増えるごとに糖尿病になる
リスクが減っていき、かむ回数によって4グループに分けたうちの最も少ない
グループに比べ、最も多いグループでは糖尿病リスクが47%低下していた。
女性でも最も多いグループで同リスクが44%低下していたが、糖尿病に
かかった人が少なかったことなどから統計学的に意義のある差が認められ
なかったという。

一方、食べる速度についても、男性では長くなるごとに糖尿病リスクが減って
いき、「速い」に対する「ゆっくり」で62%低下。
一方、女性では関連が認められなかった。

家森助教らは、今回の研究によってかむ回数が多いほど糖尿病リスクが減る
ことが認められたと結論。
また、食事時間の短さが糖尿病進展の隠れた危険因子であることが示唆された
と述べている。
さらに、食事時間の確保や虫歯予防、補綴物(詰め物や入れ歯など)を
きちんと管理してかむ力を保つことが、糖尿病の予防につながる可能性が
あると指摘した。


(編集部)



http://kenko100.jp/news/13/06/13/01