こんにちは。


チーム行く年、摺沢役・宇土よしみです。


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ローマ字で表記するとUTO YOSHIMIです。UDOではありません。


10年以上お付き合いのある方からいまだに「うどさん」とよんでいただくことがあります。

なので、自己紹介の際には「う“と”です」とあえて濁らないことを強調するのですが、それでも電話だったりすると「うのさんですか?」と聞き直されたりします。

先日、テアスタで受付をした時にお客様から「うしさんですよね!今回は出演されないんですか?」と尋ねられたたことがありました。おそらく「宇士」だと思われていたようです。

面倒くさいなあと思う反面、ネタになる苗字というのはそれだけ覚えていただくチャンスかもしれないなあと思ったりします。

演劇に携わるようになってからいろんなことが「アリ」になったような気がします。

かっこわるいとか恥ずかしい、というリミットがかなり低くなっているというか、面白ければいいんじゃないか、という発想に変わったというか…

そんなことはさておき、自己紹介ですが…

1971年4月10日生まれ、


三重県四日市市出身の44歳で、


家族は妻と9歳と4歳の娘がいます。


趣味はクラヴマガというマイナーな格闘技です。


演劇は色んな職を転々とした後、38歳でスタートしました。


アクト青山には5年在籍しております。


ところで…現在「雅俗」と並行して「シッカロール」という作品も稽古中なのですが、その中の台詞で(私の役は芹沢と言いまして摺沢と少し似ています)「人間をデータで信用するのではなく、その人を見て、感じて…」というものがあるのですが、その通りだと思いますね。

ですからこの自己紹介シリーズで出演者に興味を覚えていただけたのであれば、是非、12月に千歳烏山のアトリエで私たちひとりひとりを見て、感じていただければ幸いです。



続きまして、役柄紹介です。

摺沢は相当な資産家で、出版業を営む押川の支援者です。物語の後半からの登場ですが、物語の鍵となる人物である!と言っても過言ではないでしょう。どうぞご期待ください!



さて、今回の自己紹介の目玉企画、好きな本の紹介です。


まずはこれ。

ヴィクトール・フランクル作「夜と霧」です。


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フランクルは「実存分析」という独自の心理学を提唱した高名な学者で、戦時中アウシュビッツに収容され、かつ生還するという稀有な体験をもとに得た洞察をこの書によって語っています。

アウシュビッツという極限に置かれた人々の様々な在り様を目の当たりにしたフランクルは同じ条件の下で、ただ運命を呪って絶望する人や仲間の食べ物を奪ったり、看守に仲間を売るような卑劣な人がいると同時に、

人間的な心を捨てず気高く生きようとする人々が少なくなかったことに触れ、人間は運命に支配されるのではなく、その運命の下どうやって生きるか選ぶことができると。

「人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題である」


という言葉に何度も励まされました。



二冊目はこれ、


サン=テグジュペリの「人間の土地」です。


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いつも公演が始まるとカバンに入れて、劇場に向かう電車で読んでいます。

特に前書きの文が好きなのですが、そのなかで、パイロットであった作者自身の、アルゼンチンにおける最初の夜間飛行で目の当たりにした情景が語られます。

「あのともしびの一つ一つは、見わたすかぎり一面の闇の大海原にも、なお人間の心という奇蹟が存在することを示して」おり、

また他方では「これらの生きた星々のあいだにまじって、閉ざされた窓、消えた星々、眠る人々がなんとおびただしく存在することだろう…」と語り、それを踏まえて作者は次のようにその短い文章を締めくくります。


「努めなければならないのは、自分を完成することだ。試みなければならないのは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っているあのともしびたちと、心を通じあうことだ」

この言葉からいつも、本番を控えた心に勇気をいただいています。


ところで…高校生から大学生にかけて、大人の方々からよく言われたのが「硬い本を読みなさい」ということです。頭が柔らかい若いうちでないと読めない、ということかと思っていましたが、もちろんそういうこともあるのでしょうが、一番は社会人になると、そういう時間や精神的ゆとりがなくなるということだったのだと思います。



実際働くようになって読む本は仕事関係の本やエンターテイメント小説中心になりました。



ところが、2011年の震災の直後、余震の続くなか電気の使用制限で街も暗い、という状況でなぜか「硬い本が読みたい」と思うようになりました。不思議ですね。

生命の危機への不安を感じると、そこから目を逸らさせようとするのかもしれませんし、いつ死ぬかわからないと感じたからこそ成長したいと思ったのかもしれません。



その時の気持ちや感覚をうまく表現することはできませんが…



こことは違う、ゆるやかで雄大な時間の流れる世界があって、「硬い本」がその入り口になるような、そういう希望というか救いを感じていたような気がします。



上記にあげた2つは取り立てて硬い本ではありませんし、残念ながら震災が遠くなるにつれ、「硬い本を読みたい」欲求は薄くなっていきましたが…



いずれにせよ私は本が好きで、電子書籍が便利であってもインクのかおりがする、きちんと装丁された本の手ごたえには人間の叡知というか、誰かの脳みそを持ち運んでいるようなずっしりとした重みがあります。







「雅俗貧困譜」の押川が愛するのはきっとそういう本なのだと思います。


明日はくる年チームの摺沢役・額田礼子さんのご登場です!

お楽しみに‼︎