「苦しまずに終われるのなら愛したりしない」

哀しみが増すほど傷口がひろがり
癒えない想いが素知らぬ顔をして通り過ぎた

過去になってしまった愛
誰にも知られることのないどこかで時々、姿を現す

思い出の残骸はただ静寂を保ち
誰かに愛し愛された悦びは渇いた感情のまま

報われない痛みとともに傷の深さは増し
誰にも知られずにそっと
砂に消えてゆく
愛なんて
これ程、不確かなものはないのに
なぜ信じたいんだろう
なぜ欲しがるんだろう
人恋しくて
温もりを感じた途端に消えてしまう
雪の結晶みたいに
誰にも気づかれず
頬をつたう
白く純粋なふりをして
勝ったら正義で負けたら悪なのか?