自閉っ子コロ(特別支援学級2年)は、学校の環境が合わず、不登校が続いている。


排泄(まだオムツが外れていない)や給食の問題など、コロの生理欲求に関わる問題が整わないことが不登校の原因なので、この小学校にいる内は、登校が叶うことはなさそうだ。


今の住居のまま転校することもできるのだが、この自治体の小学校(普通級・支援級含め)オムツ登校が認められる小学校がない。



そんな訳で、他県になってしまうが、思い切って障害者福祉が充実している隣隣市※仮名に引っ越すことに決めたのである。


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隣隣市の教育委員会に初めて相談したのは4月半ば。それから電話で何度かやり取りをしたのだが、スタッフの方の無駄のない感じが電話口からでも手に取るように分かる。


「本来、普通級の転校であれば、そんなに手間ではないのですが、支援級の転校は、環境の配慮も必要なので時間がかかってしまうんです。コロくんの転校が6月なら早く動かないとですね。ひとまず今の自治体から、コロくんの就学に関する資料を取り寄せなければならないんですが、それには親御さんの同意書が必要なんです。お子さんについてのお話も聞きたいですし、お母さんだけでもいいので、土曜日に教育相談センターに来られますか?」


私は「ハイッ!もちろん大丈夫です!!」と二つ返事だ。


この会話を一読しただけで、いかに隣隣市の教育委員会のスタッフの方が、有能かつ親切で、更にフットワークが軽いかがお分かり頂けたと思う。


しかも隣隣市の教育委員会は、共働きなどで平日動けない親のために、部署ごとに休日をずらして、土曜日も相談を受け付けるシステムになっているらしい。


どんな神対応だよぉ!!と感涙にむせびながら、夕日に向かって叫びたい気分だ。



……今住んでいる自治体の教育委員会は、電話口で窮状を訴えても、いかにも面倒くさそうに対応し、平日に親が有給を取ってまで相談の準備をしていても、「こちらの都合が悪くなったので日程の変更をしてください。」などと平気で言いのける対応の悪さである。奴らの尻には鉄アレイでも付いてるのかというぐらいに腰が重いのだ。マジ卍。



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前置きが長くなってしまったが、ゴールデンウイーク前の土曜日に、隣隣市の教育相談センターに電車を2本+バスを乗り継いで向かった私である。



コロを担当してくれた隣隣市の担当者さんは穏やかな女性だった。


私がコロについての就学関係の資料やら病院の診断書のコピーをお渡ししたら、「お母さん、わざわざコピーを取ってくださって!こちらの手間が省けます!助かります!」と笑顔で言ってくださった。



お世辞まで優しくて、涙が出そうだ。

一昨年、就学前相談のために一生懸命に自作して今の小学校の校長に提出したら、眼の前で殆ど読まれずに閉じられてしまったっけ。悲しい

それが今になって役に立つとは!!指差し

ヤケになって手元のコピーをビリビリに破かなくて本当に良かった。2年前の私、グッジョブ。



担当者さんは1時間ほど、コロの特性について熱心に話を聞いて下さったが、その話の中で、「ところでお母さん、隣隣市に引っ越す住所って決まっていらっしゃいますか?」と聞かれる場面があった。


私が「いえ、まだ決まってないんです。というのも、コロの転校する学校が決まらないと家も決められないと思ったので…」とモゴモゴしていると、担当者さんの目が急に伏し目がちになってしまった。


「隣隣市側としましても、コロくんの引っ越し先の住所が決まっていないと、小学校の紹介や、そこの小学校の校長への連絡、そこから見学などの日程が全然決められないんです。でも、お母さんのおっしゃることも分かります…。難しいですよねぇ。」



私は、綿密な計画も立てずに、この場に来てしまったことを激しく後悔した。

「すみません、じゃあまた家を決めてから出直しますね。」と言うのが精一杯であった。



担当者さんは「こちらこそ、すみません。でも、今日、資料を取り寄せる承諾書も頂きましたし、隣隣市の方も動けるところは動きますので!」と言ってくださった。



つくづく有り難い限りである。



私はバカみたいにでっかい文字で「家を先に決める!」と書いたメモ帳をカバンにしまい、教育相談センターを出た。



……家問題もなかなかの大問題が勃発したのだが、その話はまた後日。