続き。






オムライスも食べ終わるころ、

楓くんが通りかかりました。


「聞いてよ、かえちゃん…。さっきあんなに頑張ったのに…一馬がオムライス持ってきた時にドンペリバレちゃったよ…w」

「えぇーっ…あんなに……!信じらんないw」


必死に隠すようにしていたのに…

楓くんのショックも一入です。




もうドンペリがバレちゃったんですから、

堂々と開けましょう。



ちょうど、類先輩がやってきました。


「どうする~?開ける~?」

「そうだね~。ってかさ、オムライスを一馬が運んできて、簡単にバレちゃったよ…」


Σ(゚ロ゚;)


こんなになった類先輩。


「俺もさっきさぁ、『開けるか~』って行ったらオムライス来てて、『あー、今は開けられない!』って思ったんだよねぇ…」


まぁ、このタイミングの悪さも生ってことでw


「どうする?せっかくだから一馬に開けてもらおうっか」

「一馬じゃなくてもいいよ?一馬をここに呼んで、ルイルイが開けて注いであげるんでもいいし…」

「一馬に開けさせてやりたいなぁ~…。ドンペリってすっごく勢いあって簡単に栓が抜けちゃうじゃん?あれを味あわせてやりたいんだよね~」

「じゃぁ、一馬に開けてもらおう!」


一馬くんを呼んできて、ここから私たちだけのミニセレモニーが始まります。


「セレモニーの時間に私は仕事に行っちゃうからさ…。今ここでミニセレモニーやろ~!w」

「じゃぁ、みんな簡単に一言ずつ言って~」


類先輩がそう提案し、最初はひろみちゃん。

何を言ったらいいか、突然なことなので考えている様子。

それを見た類先輩、


「がんばれー!とか、そんなんでもいいぞ?」


そんなw


少ししてひろみちゃんが口を開きました。


「これからの人生、いいことも悪いこともたくさんあると思うけど、全部それは自分の経験として必要なことだと思うのね?」


…なんと!

普通に感動のメッセージが始まってしまいました。

大人なメッセージがひろみちゃんから綴られています。

それを聞いていた私、

本当に卒業しちゃうんだな…って実感がじわじわ湧いてきてしまって…

思わず涙。

感動のメッセージが終わり、思わず紙ナプキンで涙をぬぐう私。


ひろみちゃんからのメッセージが終わり、

次はこたちゃん。


これまたこたちゃんのメッセージもジーン…だったのです。


最後は私。

一体何を言おう…。


本当はお手紙なんかでも書こうかな…と思っていたのに、

結局時間もないし(いいわけ~w)、何を書いたらいいかわからなくなってしまって…。

だって、便せんなんて狭いキャンパスに、一体何を書き切れるって言うんでしょう。

ただでさえ、私の文章って長いのにw


次は私かぁ…


なんて思ってしまうと、

あれもこれも伝えたいことばっかりで、

とてもとても文章がうまくまとまりません。


「はい、次はもえぞう」


そう言われて、

一馬くんの顔を見た瞬間、

思いがけず涙が頬を伝っていきます。


「ダメだ…一馬の顔…見らんないよ……」


ボロボロと溢れる涙をぬぐうのが精一杯。

早く話さないと…


いつまでもドンペリお預けなのにw


「初めてここに来た時から一馬はいたけど…、最初はうるさい奴だなぁー!年上に向かって失礼だし!とか思ってたんだよねw。でも、2回目に来た時、もう2週間くらい経ってたからその間にたくさん新入生もいただろうし、私のことなんか忘れてても不思議じゃないのに、『エレファーン!』ってドアまで来てくれて…。それを見て、『あぁ、来てよかった…。ここにこれからも来ていいんだ…』って思ったんだよ…」


私の話を聞き始めた一馬くん。

彼もまた涙を流し始めて…。


「これ、いるかー?w」

「うん…」


と、紙ナプキンを手渡す私。


「一馬がやっぱり、なんだかんだ一番仲良かったんだと思うんだよね…。一馬がいなかったら、ここまで通って来なかったと思うし…」


なんだか、愛の告白みたいになってしまっている私のメッセージw


「今後…一馬がいなくなって…寂しくなるけど……それなりに楽しんでここに通いますw」

「はい、そうしてくださいw」


一馬くんに窘められるw


「次はルイルイだよ!」

「俺はいいよ。セレモニーの時に言わなきゃだし」

「私はセレモニーにいられないんだから、ミニセレモニー用になんか言いなよぉー!」


みんなにそう言われて話しだす類先輩。


ですが…


周り騒がしいし、私泣いてるし…


類先輩声ちっちゃいし…で、


聞こえないw



夜のセレモニー(あれ?変な響きw)に向けて、

控えめにまとめた類先輩。

でも、


「こうやって…距離はあるにしろ、お前のことをこんな風にここまで思ってくれるなんて、本当に凄いことなんだよ?」


ってな流れのお話をしていました。


類先輩のメッセージを聞いて、更に涙を流す一馬くん。

次は、一馬くんがみんなへメッセージを送る番です。


「…俺…、自分が冷たい奴で、涙なんか出ないって思ってたんだけど…、こんな最初っから泣かされると思わなかった…」


一馬くんは冷たくなんかありません。

ただ、頑張って普通を装うとしているだけなんです。

本当は優しいし、面倒見がいい一馬くん。

うるさいキャラだけど、実際はみんなを引っ張って行けるように努力する、

頑張り屋さんなんだよね?


彼が色々頑張ってるところは見てきたので、

自分を保つために必死な姿がよくわかります。


「本当に今日はありがとう…」



さて、いよいよドンペリです!

実にここまで長かったw



一馬くんがドンペリに手をかけます。


「これ、すっごく簡単に開くから気を付けてな?」

「はい」

「栓が抜けて天井に当たって…もえぞうに当たるんでしょ?www」


もう!どんだけおいしいんだよ!w



シャンパンの針金を回した瞬間、


――ポーーーーン――


えぇーっ!!

もう開いちゃったの???

的な一同の反応www


ドンペリってずいぶん飲んだことあるけど、

自分で開けたことなんかないから知らなかったわ…

いつも店長は上手に開けてたんだ…

なんて自分の職場のことを思い出したりw


シャンパングラスに一馬くんが注いでいきます。

みんなが手にグラスを持ち、


「卒業、おめでとう!」


――カンパーイ!――



BL三昧-DSC_1157.JPG
やだぁ、太いわぁ~






乾杯してお話をしながらドンペリをいただきます。

ドンペリって酸味が強いシャンパンなんだけど、

物によって結構当たり外れがあったりします。

でも、今回のこのドンペリ、

酸味も強くないし、なかなかいい感じだったんじゃなかしら☆



本日主役の一馬くん、

お迎えに行ったりもしなきゃなのでここで一旦いなくなりました。

そこへやってきたのは…


お酒大好き珱くん☆w



「あ、ドンペさんだ…」

「飲む?」

「飲みたーい!」


ごめんな、ウォッカじゃなくてw


「ドンペさん、ドンペさん、いいね!ドンペさん」

「ドンペさんって…ドンキっぽくない?」

「え?」

「ペンギンのやつ…。あぁ、あれはドンペンだw」

「ドンペンかいw」


そんな会話をしながらシャンパンをいただきます。


珱くんが去った後、

やってきたのは楓くん。


「あ~…」

「飲む?」

「いいのぉ~?」


私ね?似たような立場のお仕事をしているので…

色々考えちゃうんです。

私は別にお酒が無くても生きていける人間なので、

お祝いとか色んな口実でシャンパンを飲む時、

本当は飲みたいくないのに美味しい~!って飲むことも多々ありますw


なので、一応みんなには、

「飲みたかったら飲んでいいけど、無理はしないでね?」

と必ず言います。

『薦められちゃったから飲まなきゃ失礼だし…』

なーんて考え、

私のテーブルでは捨てましょう。


ビール、シャンパン類は、

飲んでも飲まなくても栓が開いたら売り上げ出てます。

極端に言えば、

栓が開いて一口も飲まなくたっていいんですw

無理して具合悪くなったりする方がもったいない!

楽しく時間を共有する為のアイテムなわけですから、

渋々飲んでるなんてこちらも切ない。


それを根拠に見てみなさい!


類先輩は乾杯して一口飲んだだけだったぞー!w



あら?こう書くと矛盾して見える?

いえいえ、気のせいですよぉw




楓くんが飲む為のシャンパングラスを見ています。

開いてるのはどれかな…?


「これ、珱くんのグラスだよ?」

「じゃぁこれでいいわ」


兄弟って便利ねw



ちょいちょいお話をしてると一馬くんが戻ってきたり、

楓くんが動いて行ったり。

バタバタを繰り返してイケガク内は大混雑。


「あ、ドンペリの写真撮ろうよ!これ、一馬持って?」


ドンペリのボトルを一馬くんに持たせて、

首から下の記念撮影w



BL三昧-DSC_1160.JPG
密かに、シャンパンボトルの正しい持ち方をしている一馬くん。








「今さ、カメラ普通に下向いてるじゃん?」

「うん」

「なのにさ、なんか知らないけど、顔が写らないのわかってるのに、目を見開いて超顔作っちゃってたんだけどwww」


バカw





シャンパンを楽しみながら、

次のイベント、ポッキーの話に移ります。


どこのタイミングでだったか、

ポッキーのオーダーをしました。


今日は私の萌え要員では全くありませんが、

お別れポッキーで一馬くんを軸にポッキーしてもらいましょう。


「相手は誰にする?」


そんな会話がチームで繰り広げられていましたが、

私は誰と決めることが出来ず…。


だって、

一馬くんには萌えを感じないんですものw



「じゃぁさ、一馬がやりたいようにやってもらえば?『やりたい人』とやってもらおうよ」


そう決めた私たち。

一馬くんにその旨を伝えます。


「ポッキー、一馬がやりたい人と自由にやっていいよ」

「え…どうしよ…」

「ストーリーはね?卒業するから告白するってことだけ。あとは自由でいい!」

「ん~…相手でやりやすいのは楓だけど…」

「じゃぁかえちゃんでやろう!どっちが攻め?受け?」


私たちはどう考えても一馬×楓なのに、

案外長く悩む一馬くん。

ラストポッキーで…まさか…ΣΣ(゚д゚lll)



「俺が…攻め…?」


良かったぁぁぁぁwwwww

(*ノ∀`*)



「真面目なのと、ギャグっぽいの、どっちがいい?」

「それも任せる!どっちでもいいよ!」


こうして一馬くんは席を移動しながら、ポッキーのことを考え始めました。




それにしても、

結構前にポッキーを頼んだのに…

ポッキー自体はテーブルに届いていません。


でも、ふとカウンターを見ると…

カウンターの上にポツンと置かれたポッキーと生クリーム。

生クリームなんかどのくらいここにいらっしゃったのか、

溶けてきていますw


「かえちゃん!あれ、うちのじゃない?w」


くるっとカウンターを見た楓くん始め、在校生たち。


「あー!多分そう!!」


やっぱりw

こうして楓くんが運んできてくれました☆


ポッキーはいつも同じですが、

写真で記録を残しておかないと、

今日はカンペが無いので…一日の流れが不安です。

念のため、ポッキーも撮影しておきましょう。


と、ポッキーにカメラを向けたら、

そこへ楓くんが入って来ました。

しかも、


「あっ」


ってブレスレットの位置を調整し、

再度撮影w



BL三昧-DSC_1163.JPG
ポッキーと同じ色だね♪

テーブルも床もドアもだけどw





「これねぇ、どんぐりの首輪なのぉ」

「えっ!?」

「俺が出かける時に首輪外して腕にはめて『行ってくるね~』って言って、帰ってきたら『ただいま~』ってどんぐりにはめてあげるの♪」

「可愛い!!なにそれ、超リア充じゃないの!!!w」

「でしょ~!超リア充♪それもね?この首輪って二つサイズが選べるようになってるんだけど、一番奥の小さいのがどんぐりの首にちょうどよくて、そのサイズが、俺の手首と一緒なのぉ~!」


もう、

猫だけど妬けるわw



そんなラブラブ話を聞いた後、

一馬くんと楓くんが打ち合わせをして、

いよいよ、一馬くんラストのポッキーが始まります!!






つづく