2変数関数

について考えます。

この関数は、xy平面上で定義されています。
グラフをかくなら、z=f(x,y)として、
xyz座標の3次元空間内の曲面になります。


この記事での問題は、
(x,y)=(0,0)でのf(x,y)の値はどうなるか、
ということです。

正確には、(0,0)では分母が0になるので、値は定義されません。

x→0、y→0としたときの値を調べてみましょう。


[1]x≠0、y→0のとき

さらにx→0とすると、



[2]x=0、y→0のとき




[3]y≠0、x→0のとき

さらにy→0とすると、



[4]y=0、x→0のとき



です。

このように、xやyの値gが0どうか、
x→0、y→0のどちらを先に取るか、によって
f(x,y)の極限は異なります。

したがって、
x、yいっぺんに0に近づけた、
(x,y)→(0,0)でのf(x,y)の極限は
存在しないということになります。


詳しい話は、大学の微積分で勉強しますので、
高校では知らなくていいと思います。
私たちの世界には、“数”が溢れていますが、
これがもし、“行列”だったら、
どんな世界になるのか?

これを調べたく思い、いろいろ考えています。


行列は、数を長方形に並べたものとして、
定義されますが、これでは、「数あっての行列」です。

私たちの求める世界では、数はなくて、まず行列が存在するので、
数に頼らずに、行列が定義されなくてはなりません。



ということで、今回は、
ケーリー・ハミルトンの定理を満たすものとして行列を定義したら、
どんなことになるのか、またそもそもそんな定義が成り立つのか
を考えたいと思います。
成分を使わず、代わりにケーリー・ハミルトンを公理にしたら、
行列的なものを定義できるかということです。


 注意!
 この記事では、十分な結果を得られていません。
 中途半端なところまでしか書けませんでした。
 続きを読む方は、ご了承ください。



まず、
ケーリー・ハミルトンの定理とは、

2次正方行列Aに対して、

が成り立つというものでした。

3次以上のバージョンもありますが、
ここでは、高校(旧課程だけど)に準じて、2次としておきます。


そこで、

[定義]
次の性質1,2をもつ集合Mの元を抽象2次正方行列という。

性質1
Mは次の演算をもつ。
加法:M×M→M (A,B)→A+B
乗法:M×M→M (A,B)→AB
トレース:M→M A→trA
デターミナント:M→M M→detA
スター:M→M A→A*

性質2
Mの演算は次の関係式を満たす。
加法の零元の存在:∃O A+O=A,AO=OA=O
加法の逆元の存在:Aに対してA+B=OとなるBが存在する。
 B=-A,C+(-A)=C-Aと書く。
単位元の存在:∃I AI=IA=A
交換法則:A+B=B+A
結合法則:(A+B)+C=A+(B+C),(AB)C=A(BC)
分配法則:(A+B)C=AC+AB,A(B+C)=AC+AB

CH:AA+tr(A)A+det(A)I=O
tr(A+B)=trA+trB
detAB=detAdetB
detI=I

(A+B)*=A*+B*
(AB)*=B*A*
(A*)*=A
ユニタリ元の存在:UV=VU=I,U*=Vを満たすU,V∈Mが存在する。
 この性質を満たすUをユニタリ行列という。
対称元の存在:A*=Aを満たすA∈Mが存在する。
 この性質を満たすAを対称行列という。
 またA*=-Aを満たす元を歪対称行列という。

tr(A*)=(trA)*
det(A*)=(detA)*


Mとしては例えば、普通の意味での2次正方行列があります。
演算にスカラー倍はありません。
トレースとデターミナントの値域がスカラーでなく、Mになっていますが、
スカラーの代わりに、単位行列のスカラー倍を考えているということです。


この定義から矛盾は出ないでしょうか。

今の段階ではよくわかりませんが、これから定理を証明していく中で、
もし矛盾が出れば定義を見直すことにします。







[定理](対称・歪対称分解)
A∈Mに対して、P*=P,Q*=-QなるP,Qがあって、
 A+A=P+Q
が成り立つ。

<証明>
P=A+A*,Q=A-A*とおくと、
P*=P,Q*=-Qであり、P+Q=A+Aとなる。□


スカラーを入れてないので、あえて
2Aでなく、A+Aと書いている。

しかし、面倒なので、これからは、
2A=A+A、3A=A+A+Aなどと書くことにしよう。

スカラーに屈したように見えるかもしれないが、
ここでの2や3は、足し算の回数から出てきたものである。
行列に演算がある限り、「何回演算を施す」という概念は勝手に生じる。
演算から自然数が生まれたのである。決して「自然数が先にあった」のではない。


また、この分解はある意味で一意的である。
もし、A+A=P'+Q'と書けたとすると、
両辺スターをとって、A*+A*=P'-Q'だから、
(A+A)+(A*+A*)=P'+P'となり、P+P=P'+P'
よって、2P=2P',2Q=2Q'である。
スカラーを使わないので、2で割れないところが悲しいが、
とりあえず、二つ足したものは一意であることがわかる。

スカラーを使わないことに、一抹の不安を覚えるが、
いざとなったら、同値類にしてしまえばいいのであまり気にしない。



さて、本当は、

[主張](極分解)
A∈Mに対して、ユニタリ行列Uと対称行列Rが存在して
A=RUと書ける。

とか、

[主張](逆元の存在条件)
A∈MがdetA≠Oを満たすならば、
AB=BA=IとなるB∈Mが存在する。

を証明したいのだが、
どうにもうまくいかないので、もう少し考えないといけない。


ケーリーハミルトンを使わないまま終わるのは後ろめたいが、
もう時間もないので、今回はここで終わります。

もしなにか進展があったら、続きを書くかもしれません。
べき零行列は正則でないことを証明をします。

以下に登場する行列はすべてn次正方行列とする。



~用語の確認~

○零行列O
成分がすべて0であるような行列を零行列という。
Oと書く。

○単位行列○
対角成分が1、その他の成分が0である行列を単位行列という。
Iと書く。

○べき零行列○
何乗かする零行列になる行列のこと。
Aがべき零 ⇔ A^r=Oとなる自然数rが存在する。

○正則○
逆行列をもつこと。
Aが正則 ⇔ AB=BA=Iとなる行列Bが存在する。




~証明~

AをOでない、べき零行列とする。

Aが正則であるとして矛盾を導く。

Aの逆行列をBとすると、AB=I・・・①

Aはべき零だから、

 A^r=O かつ A^m≠O(mはm<rを満たす自然数)ペンギン

を満たす自然数rが存在する。

①の両辺に左からA^(r-1)を掛けると、

 OB=A^(r-1)

左辺はOだが、右辺はOでないから矛盾。

よって、Oでない、べき零行列は正則でない。

また、Oは正則でないから、結局、

べき零行列は正則でない。□



ペンギン
べき零行列では、A^r=Oとなる最小のrが存在する。
なぜなら、rは自然数だからr≧1であり、
r=1から順番にr=2、3、・・・とA^rを調べていって、
はじめてA^r=Oになったrが、それだからである。

A=Oとなる最小のrが1の場合、
A^1=Oだから、A=Oということになり、
m<rを満たす自然数mは存在しないが、
A≠Oとしている限り、r≧2である。

r=1(A=O)の場合は、証明の最後の方に書いてある通りである。