尾崎行雄夫人の邸宅から漫画の拠点へ | 歴史ニュース総合案内

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 「憲政の神様」こと尾崎行雄(1858~1954)の妻が住んでいた館がギャラリー喫茶に改装され、3月1日に「旧尾崎テオドラ邸」として開館した。漫画家の山下和美が主導して、解体されようとしていた館を買い取り、改装した。

 世田谷の豪徳寺近くにあるこの水色の邸宅は、六本木で1888年に建てられたのを1930年に移転したもの。尾崎三良(さぶろう 1842~1918)男爵が英国で現地妻バサイア・モリソンとの間に生まれた尾崎テオドラ英子(1870~1932)を引き取って建てた。英会話教師として日本の民話を英訳していた英子は、地方官から衆院議員となった尾崎行雄と1905年に結婚し、社交界の婦人となった。

 

 世田谷でテオドラ夫人はあまり長く住めなかったが、2階建ての邸宅は東京大空襲に耐えて健在だった。しかし、老朽化で2019年に持ち主が解体を表明。それを知った『天才柳沢教授の生活』や『不思議な少年』などで知られる山下が、笹生那実と旧尾崎邸保存プロジェクトという社団法人を設立。一時融資金で解体を阻止し、三田紀房や高橋留美子、永井豪ら大御所級の漫画家に呼びかけ、「世田谷イチ古い洋館」(エッセイ実録漫画化)として保存活用を実現した。

 1階は喫茶室兼ショップで2階は原画などのギャラリーとなる。漫画系の施設だが、来館は予約制だ。