マルコムX暗殺に一部無罪 | 歴史ニュース総合案内

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 米ニューヨークの裁判所が11月18日、1965年に発生したマルコムX暗殺事件の容疑者2人への有罪判決を破棄した。調和的な人種分断の解決を訴えたマーティン・ルーサー・キング牧師となにかと対比されるマルコムXの暗殺事件の様相が少し変わる。

 殺害したのはマルコムXが所属していたネイション・オブ・イスラム(NOI 現役組織)の団員だったムハンマド・アジズとカリル・イスラム、ムジャヒド・アブドゥル・ハリムの3氏。暗殺を認めたハリム以外の2名がマンハッタン地区検事局による新たな調査により、冤罪を明かす証拠を捜査当局が隠匿していたとして今回無罪判決を受けた。終身刑を1966年に受け、3人とも恩赦されているが、カリル・イスラムは2009年に死去している。

 ニューヨークのオーデュボン・ボールルームで起きた暗殺事件に対して、捜査当局は現場保存などの基本作業に尽くさなかった。当時の潜入捜査官レイモンド・ウッドがニューヨーク市警(NYPD)やFBIの暗殺関与を認める遺書を残したとの報道もある。

 

 父親をKKK団に殺されたマルコムXことエル=ハジ・マリク・エル=シャバーズ(1925~65)は、白人家庭に引き取られて良き黒人として育つも、学業をやめて靴磨きに。そこから堕落し、強盗の罪で刑務所に入れられたが、そこでイライジャ・ムハンマドが主催する黒人系新興イスラム組織のNOIに加入。自衛のための暴力を容認し、アメリカンドリームは黒人にとっては悪夢(ナイトメア)だったと糾弾する演説力で主催者よりも影響力を持つが、政治問題に無関心なイライジャには嫌われNOIを追われた。

 そこからサウジのマッカに巡礼して改心し、ムスリム・モスクやアフリカ系アメリカ人統一機構(OAAU)を設立して世界平和に目覚めようとするも、古巣から裏切り者として銃撃され、1965年2月21日ニューヨークのでの演説中に始末されてしまった。イライジャが指令したかどうかは闇の中だ。