べったりとこれ見よがし。
今でもそうだけどそれ、得意じゃない。(イヤ、してみた・・・くはあるけど)
「で、出禁?」
仲はいい。話も仕事も出来る人だから。でもそういう関係じゃない、もちろん。
言葉の意味が理解出来なくて思わず呟いた時には、これ見よがしなアラサーアラフォーの方々と遠ざかっていく。
時々わからなくなる。
気持ちが噛み合っていると思うのは妄想なんだろうかと。どう見ても事務局長がまっすぐ向かい合うタイプではないだろうと、事務局長にラブラブ光線を送っている人たちを見て思う。おそらく私に横並びの位置に置くはずはない、と。
なのに。どうしてちらつかせるのだろう。
そして、どうして腕を組んだ程度の業者さんに「出禁」なんて思うのだろう。
嫉妬
それは、先生は持たない感情
(だと思っていた。もうね、この私自身の勝手な刷り込みが強いわけです、色々と)
イコール、先生に無いのだから、私に対してどんな相手も持つはずがないと思っていた感情で。
だから、その時の私には想像もつかぬこと。
事務局長に、男は女々しいとか何とか理屈をこねられてもすとんと落ちてきてる頃じゃない、そんなわけ無いだろうと。
賑やかに2次会が終わった。
遠くの目配せで、私が先に会場を出る。
おそらく、と去年歩いた道をひとりで歩いていると、後ろから振り向かなくてもわかる早足の足音が近づいてきた。
振り返るより早く、暗い街路樹の下で抱きしめられる。
華やかなネオン街を通り抜けたそこは街の中でもひときわ薄暗い小さな公園のようなエリア、包まれるシルエットは大きな水際の石や木々に隠れてしまいそうで。
「どうして」
「え?」
「どうしてあんなドレスを俺の前で着るの。嬉しそうに別の男と腕を組んで」
酔った時や思わずの思いがこぼれる時、事務局長は俺と言う。それに気づいていたから耳元で響く言葉は突然の警報のように聞こえた。
「ええ?だって皆着てたじゃないですか、それにたまたま」
「お父さんね・・・それくらい違うということ、気づきましたか?そんな年齢差、そう。これは恋じゃない」
「・・・どうしたんですか、そんな誰か言ってたけど気にするなって前に」
「綺麗だった。驚くくらいよく似合ってた。ドレスも、それから・・・」
痛いくらい抱きしめられ、次の言葉をキスが塞ぐ。
誰かが歩いている、こんなところで、誰か知り合いが通るかもしれないのに。
