恋が先か仕事が先か | 1.5人称の恋

1.5人称の恋

私たちの時間は、いつのまにか26年になった。
絡んだ小指くらいでつながる遠距離の婚外恋愛は、焦がれすぎても続かない

「師長たちの動きが早かったな、なるほど現場に噛みこんでいるという自信のほどがよくわかったよ」

 

 

その夜、静かになった事務局長室で、事務局長は笑みを浮かべた。

 

 

「仕事が声を上げる、ってこういうことを言いたかったんですか?」

 

 

「うん?日頃は仕事の成果をさほど強調しないのに、今回は涙ぐんで食ってかかってきたから。よくよくの思い入れがあろうとは思ったけど」

 

 

「最初からこれを想定して?上司をあえて泳がせたって」

 

 

「・・・さあ?どうでしょうねぇ。ただこういうことは今後起こるかもしれないから、組織図を変更して君が動ける体制を作る必要があるかもしれない。アイツの部下でもあるが、法人本部の、私の直属の部下でもあるという仕組みをね。」

 

 

「ええ?」

 

 

仕事、を基軸に考える。

恋人として互いを理解することが出来ていると思っていたし、私の思考はかなり事務局長の考えに傾倒してきていた。互いが同系色に変わっていくということは仕事を同じ方向に動かしていくにはいいけど。

 

それは早急すぎ、組織としてもいささか破天荒なところがあった。

 

 

 

そしてそれは、事務局長を恋愛対象として見る女性たち数人に対しては徐々に妙な嫉妬の対象になり、

噂も引き起こす。あるはずのない「街での密会を見た」というような。

 

 

事務局長は「人の話を聞こう」とするタイプではあったけれど、時々思わずの方向に言葉が過ぎることがあった。

 

 

 

「どうしてsanaちゃんが私達にパソコンを教える担当になるわけ?」

「事務局長のお気に入りだからでしょう、そりゃ若いからー」

 

教えてと言われての話でも、そんな声が耳に入ってくることもあった。

 

 

「では、同じ仕事を、sama君と同じスピードで出来る者が今いるか?そんな中傷で盛り上がる暇があれば、技術をせめて彼女くらいに上げてから言うくらいのセンスがないかな。君たちのスキルが上がれば彼女の手を煩わせることも無くなる、違いますか?君たちは、何年今の業務だけを単調に繰り返してるの?ほかに何か得ようと、学んで業務に役立てようとは思いませんか?」

 

 

人には白黒はっきりつけるなと言いながら、そんな言葉を部下に突きつける。

 

 

 

 

「ああいう言い方をしないでください。仕事がしにくくなります」

 

 

「何が。本当のことでしょう」

 

 

「・・・本当とか、そういう事じゃなくて。お気に入りみたいに見えてしまいます」

 

 

「お気に入り?誰が、誰を。私は純粋に仕事で判断してます、上司一人上手に転がせない君から指図のいわれはありませんよ」

 

ニヤリと笑って、そんな言葉を投げつけてくる。

 

 

 

「・・・もう」

 

 

 

 

 


女の本音・女心ランキング

にほんブログ村 恋愛ブログ 秘密の恋愛へ
にほんブログ村