研修のついでに | 1.5人称の恋

1.5人称の恋

私たちの時間は、いつのまにか25年になった。
絡んだ小指くらいでつながる遠距離の婚外恋愛は、焦がれすぎても続かない

Oさんとのこと、はもう過去。

自分のなかではそれなりに修羅場。


でもそれ以前にそういう、さっきの先生の言葉を借りるとしたら「先生という存在がありながら」な話。

Oさんと関係がありながら、並行して先生に会いに行くなんていうことは私の中で絶対に出来ることではなかった。

 

心の中で先生とどんなに比較をしようが、やっぱり違うと思おうが、その現実は裏切りと変わらない。

 

 

また、Oさんと別れたからすぐに先生のもとに舞い戻るというのもあまりに不実な気がして。

電話をするわけでも手紙を書くわけでもないから表向きには何も変わらないけど。見抜かれた時、聞かれた時の答えを周到に用意するほど大人でもなかった。

 

 

手帳に挟んである、以前に仕事のことで質問した回答のFAX用紙。

一番早いのはFAX、まだそんな直筆文書が公式に出回っていた頃、仕事の内容とはいえ私にとっては手紙と同じ温かみを持つそれを時折取り出しては、先生の丁寧な仕事ぶりを噛みしめる。

 

その感熱紙3枚が、唯一、手元で先生を感じられるものだった。

 

「急ぐとの事ですのでFAXさせていただきます」

その表向き他人行儀な敬語に、私の試験答案の間違いを把握し、目を通してはこっそりサポートしてくれていたあの頃の気配を思い出す。

 

「でも、他の学生にはしてない」

思ってもいなかった特別、を意識して思わず息を呑んだ、あの時噛み合った先生の目が蘇る。

 

 

Oさんの事全てを悔いていたわけではないけど、そうして自分の中のOさんを拭おうとしていた。

 

 

浄化、とでも言おうか。

 

 

 

そんな時に降って沸いた研修の話だった。

思わず希望を出したものの、研修に参加が承認されると、心が別の方向にざわめいた。

 

会場は、母校のすぐ近く。ほんの少し手を伸ばせば会える距離。

 

 

「会いに行く」目的じゃない。研修のついで・・・に、ほんのちょっとだけ顔を見に行くだけ。

翌日からはカンヅメになるんだから、ちょっとくらい。
 

・・・それならばいいだろう。ほんの1時間程度で失礼すればいい。

そう、そんなに時間を割くわけには行かないもの。研修ではテストもあるらしいから。

 

そんな理屈を並べたて、会う理由を、自分の中にOKを出した末の電話だった。

 

 

 

 


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