「確率論」の間違った使い方 | 『昭和23年に生まれて』のブログ

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堺屋太一の名づけた『団塊の世代』のど真ん中、昭和23年生まれ。
自分の人生を振り返りながら、気の向くままの思い出話。

グローバルな経済活動の時代になったので、他国で経済問題が起きると、その影響をもろに受けることになっているという解説を良く聞く。

ギリシア問題もマスコミで頻繁に取り上げられる。

莫大な借金を抱えた日本もこのままでは、ギリシアの二の舞と言う人もいるし、そうでもないと言う人もいる。

左様に、分かり難い世界だが、景気問題はもろ日常生活に影響するから、無関心というわけにもいかない。

今読んでいる本に、興味ある記述があった。

間違った「リスク確率論」だ。

経済問題を議論する場合、過去を未来に投影する「リスク確率論」がベースにあるらしい。

投資の世界では、オプション価格を決める確率計算を現実に適用する時に、基本的な誤りをしていると著者は指摘している。

その例として、政府が予測している東南海地震を挙げている。 

「マグニチュード8以上の大地震が起こる確率は、今後30年で87%」

と言うもの。

その根拠は、

過去100~150年のサイクルで、地下の硬い岩盤であるプレートの歪が大きくなって、M8級の大地震が起こっている。

東南海の地域では、1944年に大地震が起こって以来、65年以上その付近では大地震が起きていない。

ということ。

著者に言わせれば、87%と言う数字が持つ、正確そうな予測もどうかと思うが、過去を調べて、ごく大雑把にしか分らないのが、現実ではないかと。

この予測確率の数字から原発が安全だと語っている、元経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏についても、間違っていると厳しく指摘する。

良くあることらしいが、もともと不確実なはずの30年で87%と言う確率を、タイム・スライス(時間分割)し、1年に起こる確率は、

87%÷30=2.9%

で、1ヶ月なら0.24%でしかないので、交通事故や航空機事故よりも遥かに小さい。

事故を理由に、車や飛行機に乗るのをやめる人は少数だろう、だから原発も安全だと、竹中氏は語ったそうだ。

著者が言いたいことは、「確率をタイム・スライスする方法は間違い」と言うことだ。

では、正しい確率論とは、何か?

次の考え方が必要だと指摘する。

・外から中が見えない箱に、赤玉が87個(87%)、白玉が13個(13%)入っている。
 (大地震が起きる確率87%)

・あなたは、今後30年間に、何時の日かわからないが、1個だけ指定された日に、その箱から、
 1個の玉を取り出さねばならない。
 (何時か分からないが、大地震は起きる)

・その日が何時かは、誰にも分らないが、その時87%の確率であなたは危険な赤玉を引くだろう。

以上が、30年で87%という東南海大地震の確率である。

重要なことは何か?

・玉を引く日が、明日かもしれないし、5年後かも、10年後かも知れないということ。
 
筆者は、確率の類似の例として、カジノの賭けの代表、ルーレットを紹介している。

それについては、別の機会にするが、自然現象である地震の発生の可能性に「確率」と指標で語ることの無意味さは理解できる。

ましてや、その発生確率をタイム・スライスした議論は、大地震以上に「危険」なのかもしれない。