$【夏の秘密】勝手にFanブログ

【↑可愛過ぎる♪】
やっぱり、何度見ても紀保って昼ドラヒロインにはあり得ない爽やかで高貴な可愛らしさですよね♪
ドロドロした所が全くなくて純粋で何処までもお嬢様で。
どこか鈍くて暴走する事も多いけれど、それも愛に忠実故の行動ですもんね。
龍一さんや伊織さんじゃなくても心配で守ってあげたくなると思う。


※注:以下は私が勝手に書いてる妄想であり「夏の秘密」とは一切関係ありません。
夏の秘密のその後...の妄想ですが何の根拠も無い事をお断りしておきます。
二次創作を好まれない方はご覧にならない事をお薦め致します。
若干、性的な表現が含まれる場合が有ります。
苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。
文章の保存、流用、転載は禁止させて頂きます。


【納豆の秘密】160話 LOVE HOLIC ~恋の病~

「じゃ。院長室で珈琲でも飲むか。どうせ傷の程度とか....報告書に書くんだろ?」
朝っぱらから呼び出しで起こされそのまま病院に駆けつけた伝通院が大きく伸びをする。
神谷刑事の背中を押し、歩き出した白衣の背後で仁が小さく声を上げる。
「.............誠.............。」
VIP室から伸びる廊下の角。
朝日の差し込む白い廊下を曲がってくる誠....そして愛。
脚を止めた伝通院の前で立ち止まり、ずぶ濡れのポケットから海水の染み込んだ皮のキーホルダーを差し出す誠。
「.............................................。」
その湿った手からキーホルダーを受け取り、鼻先に近づける伝通院が「....海水?」と呟く。
「先に謝っておく。お前の車、思いっきりぶつけた上に塩水でずぶ濡れだ。」
謝る....と言う割には睨みつける様な誠の視線。
さっき、勤務を終えて帰った筈の愛も誠の背後で唇を噛み締めている。
生乾きの愛の上着からパラパラと白い砂が廊下に散らばる密やかな音。
「.............................................。」

「....ヤバいな...。」
ただならぬ雰囲気に壁際に下がる仁が後ろに続く神谷刑事に小声で囁く。
「....ヤバ過ぎるだろ...でも、民事不介入だからな。」
取り敢えず傍観を決め込んで壁にもたれ、成り行きを見守る二人。

「............俺には詳しく説明を聞く権利が有ると思うんだが...。」
湿ったキーホルダーを白衣のポケットに落し込み、真正面から誠に視線をぶつけ返す伝通院の眉がぴくり...と動く。
頭の先からずぶ濡れの誠に対して腰から下のみ海水に浸った風の愛を注意深く見比べる。
「.....何があった?.......話によっては車の件は不問でもいい。.......だが、魚住君は何故泣いている?」
...........まさか、誠が魚住君を泣かすとは思えないが。
昨日、本人にも告げた様に心から感謝し大切に思っている彼女に何かあったのなら....相手が誠でも、ただでは済まさない。
白衣の脇で拳を握りしめる。
だが、誠の答えは意外な物だった。

「俺じゃない。..........洸。お前が泣かしたんだ。この12年間、お前が愛を泣かせ続けて来たんだ。」
「.............................................。」
以前からたまに話が噛み合ない所があったが。
それでも大切な仲間だと思っていた。
なのに、今、誠の言葉が全く理解出来ない。
...............何を言ってる?俺が?....魚住君を?
「.............そうなのか?魚住君。」
唇を噛み、涙で腫れ上がった瞼の下から見上げる愛の目に新しい涙が浮かぶ。
「胸に手を当てて考えろ。」
「.............................................。」
誠の言葉に素直に従い白衣の胸に右手を当てる。
その瞬間、握りしめた誠の拳が左頬を撃ち抜き頭蓋骨を激しく揺らす。
一瞬、白い廊下がハレーションを起こした様に純白に輝き、目の前の二人の姿が光に飲まれて見えなくなる。
思わずバランスを崩し一歩下がる白衣の裾が大きくはためく。
「.............................................!?」
何とか踏みとどまり驚愕の目で誠を見つめる伝通院の視線の先............愛が静かに進み出る。

「....今のは卑怯だよな....。」
腕を組んで壁にもたれたまま仁が眉をひそめる。
「ま、いいんじゃないか。最終的には勝ったもん勝ちだろ。」
警官とは思えない発言を返す神谷刑事も深刻な表情で事の成り行きを見守る。

「.......先生。もし、私が誠と結婚したら.......今度は私は"反町君"ですか?」
瞼も鼻先も真っ赤に染まった愛が投げかける質問。
誠の一撃を喰らった左頬を手の甲で押さえ出血が無い事を確かめ、白衣の衿を正し..................呆然と目の前の愛を見つめる。
「.............結婚.........?」
車の事や意味も分からず殴られた事等、どうでも良くなる程の動揺を押し隠し目の前の愛と誠を見比べる。
何故、結婚の報告で車を壊し、海水まみれで、病院の廊下に砂をまき散らし、泣き顔で、殴られたのか....全てのバラバラなパーツが整理され無いまま伝通院が口にした言葉。
「........おめでとう。」

他に何を言う事が有るだろう....。
12年前に、国防省の極秘任務を遂行する為、集められた仕事も年齢もバラバラな12人。
その中で最年長だった28歳の伝通院と最年少だった17歳の愛は奇遇にも同じ大学病院で勤務する事になった。
医者として看護師として、公私共に支え合い12年間を過ごして来た。
国防省の任務で何度も危険な目に合い、それでも助け合い多くの成果を上げた12人。
お互いの背中に命を預け闘って来た戦友であり、血よりも濃い絆で結ばれた仲間だと信じて来た。
その中の二人が..........結婚すると言うなら........俺が反対する理由は何も無い。
「君が幸せになるなら。祝福する。」
上手く微笑む事が出来ているとは自分でも思えないが、精一杯微笑んでみせる。

「..............おめでとう............................?」
鈍感な伝通院の目にも、心から傷付いた事がハッキリと分かる愛の瞳から大粒の涙がこぼれ床で弾ける。
「...........愛!!」
ひくり...と喉を振るわせ声を上げようとする愛の肩を誠が強く抱きしめる。
「........行こう。もう、話しても無駄だ。」
よろめく愛を抱える様にして踵を返す誠のシャツから海の香りがふわりと広がる。
濡れた二人分の足音が遠ざかるのをなす術無く見送る伝通院。

「おいおい....エラい展開だな。.....行かせていいのか?」
今度は神谷刑事が壁から背中を浮かせる。
その腕を掴んで「俺達の出る幕じゃない。黙って見てろ....」と引き戻す仁の手。

海からやって来た二人が白い廊下の角を曲がろうとした瞬間。
愛の腕が熱く大きな手で引き止められる。
「.............................................!?」
自分の手首をしっかりと握りしめる左手。
その手首に嵌った見慣れた腕時計はロレックス。
その先に続く白衣の長い腕、力強い肩...そして、深い漆黒の瞳。
「.............先生.............。」
脚を停める愛を振り返り「何だよ。.........お前には関係ないだろ。俺の事も、愛の事も....」と苛立を露にする誠の言葉にも熱がこもる。
「関係なくは無い。お前の事も、彼女の事も。二人が幸せになるなら祝福もするが...。こんな状態で黙って行かせる訳には行かないだろ。」
愛の肩に回された誠の腕に右手をかけ力ずくで引き剥がす。

「魚住君。昨日言った言葉を覚えてるか?俺は君が幸せになるなら何だってする。....だが、こんな風に結婚するって言われても........君が幸せそうに見えないのに黙って見送るなんて出来ない。仕事に不満が有るなら改善する。俺の素行に問題が有るならそれも出来る限り改める。......どんな事でも力になる。何か君を不愉快にする様な事が有ったならいくらでも謝る.........心から詫びる。だから、何かあるなら話してくれないか?」
真正面から愛の両肩を包む伝通院の手。
愛の目線に合わせて少しかがみ込む白衣から消毒液が香る。
「..............愛、自分の言葉で伝えろよ....。」
潮風でくしゃくしゃに縺れた細い髪を優しく撫で付け誠の手が離れて行く。

「...........結局、何が目的?」
神谷刑事の向こうから覗き込む仁に「黙ってろ」とつれなく応え、並んで壁にもたれる誠。
「....お前、本気で磯臭いんだけど....。でも、よくやった。」
神谷刑事が差し出す拳に小さく拳を当てる誠の唇に満足げな笑みが浮かぶ。
「後は.........愛...次第だな。」

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「特別室?あの、昨日まで秤谷 仁が入ってた個室?」
ナースステーションのカウンターに乗り出す様にして伊織が中のナースに話しかける。
「そうです。院長先生もそちらに居られると思います。処置が済んで患者さんを連れて行かれましたから。」
新人らしいナースが指差す方向に目をやり「どうも!」と会釈して振り返る伊織。
「紀保。こっちだ。」
後ろで待っていた紀保の手を取り駆け出す後ろ姿に「廊下を走らないで下さい!!」とナースの声が追いかけてくる。
「伊織さん。走っちゃ駄目だって!」
と、言いながらも競歩の様に早足になる紀保。
診療所の前にこぼれた血が全て犬山の物なのか。
まさか、杏子も怪我を....??
そう思うととても落ち着いては居られない。
「杏子さんは無傷だって仁が言ってたけど....。犬山さんの怪我が酷いみたいだし。杏子さんもショックが大きいだろうな。.......って、紀保....走っちゃ駄目だ!」
伊織の口から杏子の名前が出た途端に走り出しそうになる紀保の腕を強く引き寄せる。
「大丈夫。もう、その角を曲がればすぐ....................。」

目当ての病室に続く白い廊下の曲がり角。
そこに展開される意外な光景に思わず脚を停める伊織と紀保。
「........................洸.......と、愛??」
大きく切り取られた窓から燦々と朝日の降り注ぐ白い空間に何故か海の香りが強く漂っている。
ベージュのパンツスーツの腰から下がずぶ濡れで廊下に佇む愛。
その愛の肩に両手をかけ真正面から黙って視線を合わせる伝通院。
「.............................................。」
白い彫像の様に動かない二人に声をかける事も出来ず......ただ紀保の手を握り立ち尽くす伊織の視界で見慣れた顔ぶれが小さく動く。
個室の扉の脇に腕を組んでもたれる仁、その隣に疲れ切った顔の神谷刑事、そしてその隣に遠目にも水気たっぷりな誠。
三人が「黙ってこっちに来い」と言う様に無言で手招きしているのが見える。
仕方が無いので忍び足で伝通院と愛の横をすり抜け三人の元へ辿り着く瀬田夫婦。
「...............何?」
固まったままの二人をそっと指差す伊織に「それよりも杏子と犬山さんは....?」と質問を被せる紀保。
「.....中も外も取り込み中。でも、中は全く心配ない。....ゴメン、磯臭いけど紀保さんは誠の隣に並んで。とばっちりが来ると危ないから。」
声を潜めた仁の指示に仕方なく紀保も壁に背中をつける。
「........とばっちりって....何をやってる最中?」
紀保の横に並んで壁にもたれながら伊織も声を潜めて問いかける。
「黙ってろ....。決着がつくまでは見守るしか無い。」
動く度に磯臭い誠が唇に人差し指を立ててみせる。
「.............................................。」
廊下の二人も大いに気になるが、それ以上に病室の中の二人が気になりそわそわする紀保の手をぎゅっと握りしめる伊織。

「先生はおっしゃいましたよね。私が病気になったら........どんな難病でも治して下さるって....。」
何度も鼻をすすり上げ、やっと言葉を紡ぎ出す愛の細い声が廊下に響く。
「約束した。君がどんなに重い病気にかかったとしても必ず俺が治す。.......でも、何処も悪くは無いと.....。」
昨日、確かに約束したが....何処も悪くは無い....ずっと先の例え話だと言わなかっただろうか?
「やはり、どこか悪いのか...........?」
それなら何故、昨日あの場で打ち明けてくれなかったのだろう?
苛立と焦りで愛の肩を強く揺さぶる伝通院の手の中で愛がぶるぶると首を振る。
「私.........恋の病なんです。」
「.............................................。」
白い廊下に沈黙が広がる。

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