視察の2日目は、飯舘村で農業を営んでいた渡邊とみ子さんを訪ねて、避難先の福島市のご自宅に伺いました。

渡邊さんは、市町村合併に関する議論に加わったことをきっかけに、25年以上、飯舘の地域づくりの活動をしてきました。その中で、

飯舘村オリジナルのじゃがいも「イータテベイク」と、かぼちゃ「いいたて雪っ娘」を特産品にしようと研究会を発足。資金集めに奔走して加工施設を立ち上げ、さまざまな課題をクリアしながら、いよいよ世の中に出せるという段階で、原発事故により、畑も加工場も住むところも、すべてが奪われてしまいました。

 

 

 それでもなんとか種をつなぎたいと、避難先で休耕田を借り、種をまいて、いいたて雪っ娘を生産。荒れた田畑を畑として整えるために、大変な苦労をされました。

 さらに、同じように避難してきた農家の女性たちとともに、「かーちゃんの力・プロジェクト」をスタートさせました。独自基準の厳しい放射能検査を実施しながら、漬物や弁当などを製造・販売。プロジェクトは2017年の避難解除まで続けました。

 

 避難解除後も、飯舘村で農業を再開するには届出をして、放射能検査を受ける必要があります。すべてクリアし、ボランティアの協力も得ながら収穫にこぎつけました。


 

 収穫した「いいたて雪っ娘」はすべて、種も含めて放射性物質は不検出。白い薄皮に包まれ、濃厚な甘みのあるカボチャで、県内の大手スーパーや道の駅でも販売され、好評だったそうです。

レトルトスープや種のパウダーなど、加工品も開発されています。(写真は、かぼちゃスープを含む飯舘の製品の数々です。お味は追ってご報告しますね♪)

 

 農業を生業としない私には、農地を置いて避難する心情は想像しにくいものでした。

 でも、渡邊さんのお話を伺っていると、その辛さ悔しさが静かに伝わってきました。

 「すべての答えは現場にある。撒かない種には芽も出ないし、実もならない」「あきらめないことにしたの」

 渡邊さんの前向きで力強い言葉は、味わった苦しさの裏返しでもあると思う。

 

農業、漁業、畜産、酪農、林業…地域の自然とともに営まれていた産業の”復興”は、まだまだこれからなのだと感じました。