新聞投書から生まれた クミコの新曲『七日間』 | 安倍寧オフィシャルブログ「好奇心をポケットに入れて」Powered by Ameba

新聞投書から生まれた クミコの新曲『七日間』

 

「2019クミココンサート」(7月6日、EXシアター六本木)のラストで披露されたのは、出来立てのほやほやの新曲「妻が願った最後の『七日間』」(日本コロムビア)だった。作詞覚和歌子、作曲KEN for 2 SOUL MUSIC, Inc., Philip Woo, JUNE。情報に疎い私はまったく知らなかったが、この曲誕生までにはなかなかドラマチックな経緯があったようだ。当日も舞台上のクミコ、覚らの口からそのあたりのエピソードが紹介された。

 

 きっかけは、去年3月、朝日新聞投書欄“声”に一篇の詩が投稿されたことからだという。投稿の主はある70代の男性で、詩は彼の癌で亡くなった妻の遺稿だった。そこには妻の人生最後の望みがごくシンプルに、しかし、たっぷり愛情を込めて綴られていた。

 

 詩が紙面に掲載されると、あっという間にSNSで反響を呼び、たちまち多くの人々がシェアするところとなる。その数18万7千以上というから驚かされる。名も知れぬ平凡な夫婦の物語という点が、かえって多くの人々の共感を呼んだのかもしれない。物語は単行本化され、(サンマーク出版)、テレビのワイドショーでもとり上げられ、話題が話題を呼んだ。

 

 歌にならないかという打診は投稿の主の男性から直接クミコにあったようだ。男性はもともと彼女のファンだったのだろうか。幼い息子を亡くしたアメリカ女性の詩「最後だとわかっていたなら」に基づく同名の歌(歌詞構成・作曲都志見隆)が、クミコにあることを知っていて、それからの連想なのかもしれない。

 

 今回の「七日間」は酒井政利プロデューサーの手になる。クミコは「プロデュースを酒井政利さんにお願いすると聞いた時には耳を疑いました。」と語っている。酒井氏が「多くのヒット曲を世に出したレジェンド」だからだ。

 

 酒井氏はソニー・ミュージックにあってフォーリーブス、南沙織、キャンディーズ、山口百恵らのヒット曲を生み出した名プロデューサーだが、彼のプロフェッショナルとしての原点は、それ以前、日本コロムビア時代に青山和子の「愛と死をみつめて」(作詞大矢弘子、作曲土田啓四郎)である。1964年、第6回日本レコード大賞受賞曲でもあった。

 

 そういえばこの曲の原作となったのは、骨肉腫に侵された若い女性と彼女を励ます恋人の男性との往復書簡集だった。純愛が主題という点では「七日間」と共通性がないとはいえない。

 

 話題性はさて措き、「七日間」は、原詩の味わいを損なわない、いい意味で素朴、かつ透明感あふれる曲調で、そくそくと胸を打つ。クミコの歌いぶりにはそこはかとない哀感が漂う。佳曲誕生である。

 

    オリジナルコンフィデンス  2019/7/29号 コラムBIRDS EYEより転載)

 

                              7月6日のコンサートで歌うクミコ。