10日月曜日の上京(菊池嘉晃研究-10) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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安部南牛が、朝鮮関係の本の書評を中心に掲載していくブログです。

ワクワクした気持ちで今日も利根川を渡る。老人の話を聞きたい、帰国事業に就いて聞きたい方には余命いくばくも無い南牛は出かけている。日朝協会が結成されたいきさつ、それに関わる佐藤勝巳と萩原遼の大活躍に就いて聞きたい組織、人からの申し出は断らない。個別に知っていても、日朝協会、帰国事業、六全協前後の日共の活動、共産圏への技術移転に就いて総合的に語れる人は少ない。それで需要が出来ている。それは新たな胎動の前兆でもある。

そういう中で『北朝鮮帰国事業の研究』は適切なテキストというか、南牛の側の教科書になる。それは日朝関係を叙述した800頁を越す大部な著作に関わらず穴が多いからである。先ず話の冒頭に菊池嘉晃君の著作を挙げて、記述されていない点から話しはじめる。

帰国事業に関わる運動を論じた研究書にしては、運動体を担った在日の活動家からの引用が無い。次に、佐藤勝巳の運動を論じた文章をどの程度読んでいるのだろうか?

更に、在日で言えば神奈川県下の地誌史るいからの引用も無い。一例を挙げれば、野村旗守君が拘っていた小泉組への言及がほとんどなされていない。

野村旗守君は小泉訪朝時に帰国事業に関わる話があったと述べていた。小泉純一郎氏は世が世なら小泉組の4代目組長に就く筈であった。