器をカラにする

むかしむかし、とても徳の高い高僧と国を統べる皇帝がおりました。
年の瀬の事です、皇帝があわてて和尚の下を訪ねました。
皇帝「先生!俺は、俺は来年どうしたらいいんだ!」
僧は慌てる皇帝を部屋へ招きいれ
ゆっくりとお茶をたて始めたのです。
皇帝「先生!そんなのんびりしておらずに、早く教えてくれ!」
僧は皇帝の湯のみに、ゆっくりとお茶を注ぎ続けます。
皇帝「あちち!お茶がこぼれておりますぞ!もう十分ですぞ!」
それでも僧はお茶を注ぎ続けます。
皇帝「どうしたのですか!溢れてもなお注ぎ続けるなんて!」
僧「今のあなたはこの湯のみと同じです。
いっぱい入ったままでは何を注いでも溢れます。
一旦帰って空っぽにしてからまたおいでなさい」