昔昔のお話
トラックの運転手を社員でしてた頃、新しい所長が東京に小さい子供がいるのに単身赴任でやってきた。
その所長はニコニコしていて、優しさが表に現れてる人だった。
人がミス配送してもあまり怒らず、所長自らそのミス配送を自分の乗用車で間違えた店から店へと部下のミスをカバーするような人だった。
そんな優しさにつけこんでいつの間にか、その当時若かった自分たちがちょっとの不満でも所長にぶつけた。
終いには自分のミスで注意されても言い返す始末
社内で改革があれば文句言いたい放題
それは今までの自分の仕事のペースを乱されるのが嫌だというだけの理由で。
でも、所長は会社内はもちろん、社外から見た広い視野で改革をしようと言っていた。
もちろん所長の提案なので文句言っても通るわけがない。
結局は所長の改革で進んで行った。
でも、その改革を反対していた俺らはその日から所長をシカトするようになった。
正直、所長が運送屋なのにトラックも乗れない「出来ない奴」とバカにもしていた・・・
シカトしていても、笑顔で「おはよう」「今日も安全にな」「今日は仕事どうだった？」
「何か頼れることがあればいつでも言ってくれよ」
「おまえなんかに頼らねーよ」
言われるたびに小バカにした感じでシカトする自分。
それから何か月か経って、自分の直接の上司に言われた。
「所長はな、もうこの会社に入って何十年も経ってるのは分かるよな。10年近くトラック乗ってたんだぞ。軽トラから大型までな。社内のどんな仕事でも出来るからこそ所長になれたんだよ。俺もおまえの上司だけど所長は俺の上司なんだぞ。だからおまえのもっと上の上司だ。俺にはむかわずに所長にはむかうっておかしくねーか？」
完全に自分が調子に乗っていた事に気づく。
日にちが経つにつれて自分の言ってた事が自分勝手だったことに気づいてた。
所長が笑顔で話しかけてくれることが心苦しかった。
いつか謝ろう、完全に自分勝手だった事を。
そう思い続けてたけど、気が強い自分がいつもタイミングを逃してた。
それから約1年後・・・
売上が少ないと本部から言われ続けていた所長は一人住んでたマンションで首をつって自殺した。
俺が第一発見者。
結局一言も謝ることも出来ず、自分の中ではもっともっと苦しい後悔になってしまった。
会社で部下から言われたい放題、本部からも言われたい放題、一人の社員にも愚痴をこぼすことなく自分の心の中で必死にしまっていたんだろう。
‘上になる人間は愚痴をこぼす場所がないんだよ’
そう聞いたことがある。
あれから20数年が過ぎた。
ちょうど所長が命を絶った年齢と同じになった。
なんとなく逆の立場に近づいた人生になった。
俺はあんな所長みたいな上に立てる人になれるのかな？
イラッとしても次の日は笑顔でニコニコだなんてできねーよ。
まだまだだな。
所長！
あんたスゲー良い人だったんだな
上に立つ才能あったんだよ
所長・・・あの時はすみませんでした。
他愛の無い内容なのでコメント欄閉じさせて頂きました。
すみません
よ～し！次は元気出していってみよぉ～～～～～
