【転載開始】

ドイツ連銀は月報の中で「アベノミクスは藁に火をつけたようなもので、
早晩燃えかすだけが残る」と大特集で報じた。

内容の詳細は省くが、無理に無理を重ねている状況であり、
14年4月以降はアベノミクスの後遺症が一気に表面化するだろうと、不気味に予測している。

ロイターにブラウン・ブラザーズ・ハリマン シニア通貨ストラテジストの村田雅志氏のコラムが
掲載されているが、このコラムが的を得ているだろう。


≪ コラム:数字が物語るアベノミクス期待の剥落=村田雅志氏≫

村田雅志 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン シニア通貨ストラテジスト(2013年8月20日)

 ドル円は、有識者と呼ばれる方々の当初の予想と異なり上値の重い動きを続けている。
8月に入り反発する場面もあったが、100円を再び突破する勢いはなくなりつつある。

 もともとアベノミクスと呼ばれる政策群で、
ドル円が100円を超える水準まで持続的に上昇すると考えるのは無理があった。
大胆な金融緩和の推進を主張する安倍晋三首相の意を汲んだ黒田東彦氏が
日本銀行の総裁に就任し、アベノミクスの「第1の矢」とされる大胆な金融政策を
打ち出したことを市場は材料視。
ドル円は93円台前半から大きく上昇したが、
その方向性に大きな影響を及ぼす日米金利差は8月半ばを過ぎても
2年前の水準とほぼ変わっていない。  
米国債利回りの上昇が限定的だったとの弁明も示されているが、
そもそも超低金利状態にある円債利回りを日銀が半ば強引にさらに押し下げたところで、
円を下押しする効果は限定的だったと考えるべきだろう。

  「第2の矢」とされる機動的な財政政策も従来型の財政支出増と何ら変わることはなく、
「第3の矢」とされる成長戦略にいたっては、
市場が織り込めるほどの短期間で大きな成果が期待されるものは何もない。
アベノミクスという新しいラベルを付け、市場の期待を刺激したのは良いが、
中身については従来の自民党政権で実施されたものと大きく変わりはないことが明らかとなり、
市場の円安期待も後退。
ドル円の上値が重くなってきた、というのが素直な解釈と思われる。

 アベノミクス信奉者は、企業の設備投資が増えると主張してきた。
4―6月期の国内総生産(GDP) は年率換算で2.6%増とまずまずの伸びだ。
しかし、民間設備投資は前期比0.1%減と6四半期連続のマイナスを記録した。
機械受注をみても、設備投資の 先行指標とされる民需(除く船舶・電力)の
7―9月期見通しは前期比5.3%減と大きく落ち込んでおり、
設備投資が今後、増加に転じる期待は持ちにくい。

  アベノミクス信奉者は、円安進展により輸出が増えるとも主張していた。
しかし、輸出数量は現実には6月まで13カ月連続で前年割れとなっている。
7月に入り前年比 1.8%増となったが、米国景気の強さを考慮すれば、あまりに弱い。
一方、輸出価格は昨年12月以降伸びが高まり、
7月は前年比10.2%上昇と3カ月連続の2ケタ上昇を記録している。

 <中略>

 輸出企業に限らず、日本の製造業は設備投資を増やす状況にない。
6月の製造工業稼働率指数は前月比2.3%低下の95.8とリーマンショック前の
2008年前半の水準から2割以上も落ち込んだままである。
日銀短観の生産設備判断DIをみても、
製造業はプラス12とリーマンショック後も設備過剰感がほとんど解消されていない。
円安になっても輸出企業は生産を大きく拡大させる意向がなく、設備の稼働水準は低く、
設備過剰感は続いたままの状況のなか、
円安進展で設備投資の増加を期待するのは合理的な考えとは思えない。

<円安で吸い取られた家計の購買力>

 円安の進展で日本の株価が上昇したことを評価する見方もある。
ただ、上述したように円安が永続的に続くとは期待できず、
円安主導の株価上昇は難しくなっている。
日経平均株価が5月23日の場中に記録したピーク(1万5942円)どころか、
1万5000円すら上抜けできないことをみれば、
円安による株価上昇に限界があることは容易に理解できる。

 <中略>

 6月の完全失業率は3.9%と、08年10月以来4年8カ月ぶりに3%台に低下した。
アベノミクスの効果だと喧伝する方もいるが、
雇用が継続的に増加しているのは医療・福祉のみで、
円安の恩恵を受けているはずの製造業は雇用を抑制したままである。
金融緩和で医療・福祉の雇用が増えるとは考えにくく、
足元の雇用環境の改善は少子高齢化の進展という大きな流れの中で
労働市場の流動性が増したおかげと考えた方が自然だろう。
1人当たり賃金(現金給与総額)は、数多くの方が指摘するように伸びが限定的。
結果として4―6月期の雇用者報酬は前期比0.3%増にとど まっている。

 <中略>

 内訳をみると、消費者物価を大きく押し上げたのは電気代、ガソリン代、
ガス代といった輸入物資。現に4―6月期の日本の交易損失は20兆円と統計開始以来、
2番目に大きな規模に拡大している。
アベノミクス信奉者は、日本がデフレからインフレの流れになりつつある
と喜んでいるのかもしれないが、輸入物価の上昇を中心とした物価上昇は消費者の
購買力を悪化させている。
円安の進展は結局、輸入物価の上昇で吸い取られた家計の購買力が、
日本の輸出企業や産油国といった海外に移転するだけとなっている。

 金融緩和の強化や公共投資を中心とした財政支出の拡大は、
市場のボラティリティを拡大させ、社会のムード・期待を一時的に変えたかもしれないが、
日本の企業部門はムードに踊らされることなく冷静な対応を続けた。
一方、家計部門は高揚感の中で半年程度、消費を増やしたかもしれないが、
ようやくアベノミクスの本質に気づき始めた。

 3党合意で計画通りに実行されるはずだった消費税率引き上げの是非が
安倍政権周辺で今さら議論され始めたのは、アベノミクスの限界に彼らも気づき始め、
消費税をネタに社会のムード・期待を新たに変えようとしているためなのかもしれない。


【転載終了】


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国民が気付くのは、消費税が増税された来年の夏場なのでしょうが?
しかし、それ以前にリーマンショック以上の危機が起こるかも知れません・・・

世界の国債利回りが急上昇しているなか、何故か日本国債は安定しています???

米国10年債は、マジックナンバーといわれる3%に現在2.901%と迫っています。


8月20日、オバマは金融関係機関を緊急招集し、深刻な会合を行ったようです。

下記は一同に会した機関・組織の名前です。

・CFPB(消費者金融保護局)
・FHFA(連邦住宅金融庁)
・the Fed (連邦準備制度理事会)
・CFTC(米商品先物取引委員会)
・FDIC(連邦預金保険公社)
・NCUA(全国信用組合機構)
・the SEC(証券取引委員会)


10月危機が迫っているのでしょうか・・・