アースルーリンドの騎士『二年目』24 合同練習 15 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

大慌てでこれ描いてました(涙)

今日は色々忙しくて、三時間くらいで描き上げ。

荒い~(涙)

ダベンデスタ、端役なのでこんなにギュンターと喋ってるのに

絵が無い……(笑)

寝ぼけ眼で、まだ背は高くても痩せてるギュンター。

この印象が、ローランデにとっては強かったので

ギュンターが口説き始めてもピンと来なかったのか?

綺麗が目立ってるので、全員ギュンターを誤解してる。

とんでもなく負けん気強くて喧嘩っ早いのにね(笑)

$「アースルーリンドの騎士」


「起きろ!ギュンター!
昼飯だ!」
生徒が全員食堂に消えたがらんとした講堂で、ダベンデスタが堪りかねて怒鳴る。
ギュンターはふ…と頭を持ち上げ、空に成った講堂を、見回した。
そして、唸った。
「…腹が、減った」
ダベンデスタは呆れ混じりに呟いた。
「…そうだろうよ!」

食事の席はもう四年を除く全校生徒が集いつつあり、ごった返してた。
ギュンターはダベンデスタと列に並び皿を取り、食事をしゃもじで皿に放り込みながらどん!と背中にぶつかる相手から取り落としそうな皿を庇い、思わず背後を睨む。

が、背を向けていたその人物は振り返り
「すみません。
溢れましたか?」
と丁寧に謝罪し、ギュンターはついその顔を、目を見開いて見た。

濃い栗毛と明るい栗毛の交互に交じる、長い髪と湖水のように澄んだ青の瞳。いかにも気品の滲み出る出で立ち。
「王子様」
そう言われても納得したろう。

どう見ても育ちのそれはいい、身分の高い少年だった。
「…いや。大丈夫だ」

言ってやると彼は謝罪するように頷いて背を向け自分の席へと、戻って行く。
その背を見ながら、ようやく夕べ皆に言われた事を、ぼんやり思い出す。
最もその前にダベンデスタが早口でその名を唱えたが。
「…ローランデじゃないか…」

見るとダベンデスタは壊れた井戸の汲み上げのようにしゃべり続ける。
「昨日お前見てなかったから知らないだろうが…。
ローランデは半端無いぞ?
あの見てくれとは正反対にな!
それにこの後二年と合同授業だぞ?知ってるか?
二年との合同授業は『生贄』と呼ばれてる。
あいつが一年の時は、一年との合同授業が『生贄』だった。
今回は三年が真っ先に『生贄』だ。
講師も昨日戦ったばかりのディングレーは宛てがわないだろうが…。
つまり他の奴があいつの相手に宛てがわれるって事だ!
そうなったらいい恥さらしだぞ?
下級生に滅多打ちにされるなんて!」

ギュンターは言い終わったかな?とダベンデスタの顔をじっ…と見た。
「二年のトップだとは知っている。
喧嘩の場に居て、俺がグーデンの部屋に殴りこむのを、止めた奴だ」

聞いてダベンデスタは呆れ混じりに目を見開きぼやく。
「…それはローランデじゃなくても、誰でも止めるだろう?」
ギュンターは歯を剥く。
「グーデンが少年を拉致しててもか?!」

ダベンデスタは怒るギュンターから顔を、背ける。
「…拉致してても、王族の私室に普通殴り込みは掛けない。
ディングレーの私室に殴り込みが入りゃその前に、絶対奴の取り巻きが奴に合う前に沈めてる」

ギュンターが見てるとダベンデスタが肩竦める。
「顔を出したディングレーが問うと、連中は『何でもありませんよ』と狼藉者を引っ張り出し、ぼこぼこに殴って放り出すだろうな」

ギュンターは頷く。
「つまり王族の私室には護衛が付いてるから、困難だと言いたいのか?」

「それに退学のオマケも付く。
目的の人物も殴れず退学だ」

見つめるダベンデスタにギュンターも肩を、竦めた。
「成る程。
殴り込んでも利無しと言いたいんだな?」

ダベンデスタは解ったか。と、たっぷり頷いた。
そしてふ…と、ギュンターを見る。
また、背が伸びたように感じる。
が囁いた。
「案外お前があいつの相手に、指名されるかもな」

ギュンターはまだ、眠気でフラつく頭を振る。
「強敵か?」
ダベンデスタは目を、見開く。
「学校一の腕前だ」
ギュンターは霞む目でまだ、ぼやけて見える世界とダベンデスタを見て呟く。
「それは大層強敵だ」

ダベンデスタはギュンターの表情をじっ…と見たが、解って言ってる風もなく、戯言か。と吐息混じりに顔を、背けた。