真剣に戦うのは、ディアヴォロス以来なんでしょう。

そう…今思えばあの時オーガスタスの脳裏にあったのは、対戦していたローランデで無く最高峰ディアヴォロス。
が、好敵手と今は認めた、ローランデに対する攻撃は少しも手抜き無く、ローランデは時折牙を剥く早く激しい襲い来る剣に、必ず左を突き入れ弾き、オーガスタスの気鋭を削いだ。
互いが互いの、波に乗るのを阻み合い、自分の勢いで相手を圧そうと、激しくぶつかり合う。
がっ!がっ!がっ!!!
ローランデが突っ込むと、互いの左右の剣が激しく軌道を変え幾度もぶつかり合い、どちらかが入れた一撃でどちらかが引き、そしてまた始まる。
オーガスタスはびゅんっ!と唸る剣を頬間近に感じ、完全に頭に血が、昇る自分を自覚する。
こんな対戦は…奴隷の見世物試合以降だった。
どの相手も自分より、大きかった。
試合だ。と言っても、相手を殺すのは仕方ない。
相手が弱いせいで、殺される方が悪い。
そう言う試合だったからこそ、オーガスタスはその剣が戯言なんかで無く、自分を仕留めようと襲い来るのをひしひしと、感じていた。
その時同様、この“風”には、殺気があった。
本当に試合で、寸止め出来るのか?
と言う程の剣だったから、オーガスタスもきっちり、忘れた。
寸止めする。なんて決着を。