アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』冒険の旅 56 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

王冠2 登場人物紹介
王冠2 イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)


 ディングレーがアイリスに尋ねる。
「隊列は変わらないんだな?!」
アイリスは鮮やかに笑うと馬に跨り近づき、テテュスを、エリスの背に抱き上げようとするディングレーに微笑んだ。
「地下道迄は。
ローフィス。ゼイブン。
最短距離を、頼む!」
言って、最後尾に着く。
ローフィスとゼイブンはアイリスに振り向いて頷き、皆が一斉に馬上で
『またか…』と顔を、下げた。

 神聖騎士団の神域の、正門で無く使用人の使う小さな出入り口から一団は次々に馬上で駆け抜け、先頭のローフィスとゼイブンはその向こうの、短い草の生えそろう起伏ある草原を一気に駆けて行き、皆が一斉に馬を蹴立てて後を追う。

 やがて草原が途切れ、目前に急で巨大な岩壁が、頭上に広がる晴れ渡った青空の中、そびえ立つ。
ディンダーデンは横の迂回路を見つめた。
その先には、道がある。
ローフィスはディンダーデンの視線に気づき、彼の内心を代弁した。
「確かに、そっちに出るとまっとうな道だ」
ディンダーデンが直ぐ吠えた。
「俺はまっとうな道が、大好きだ!」
ローフィスが肩をすくめ、ゼイブンも同様でディンダーデンが怒鳴る。
「この先は崖だ!行き止まりだろう?!」
ローフィスは拍車を掛けてその岩肌を登り始め、怒鳴り返す。
「ちゃんと通れる!」
ゼイブンも後に続くと、手綱を引いて崖を駆け登る。
「嘘付け!」
後ろでディンダーデンは吠えるが、振り向くオーガスタスと隣のギュンターに
『諦めろ』と視線で促され、仕方無く馬に、拍車を掛けた。
ローフィスもゼイブンも馬を繰りながら、その岩山の崖を、足下を確かめながら斜めに登って行き、その姿はあっという間にうんと高い場所に覗(うかが)え、どんどん上へとその姿が小さく成って行く。
その後を、やけくそのオーガスタス、ギュンター、ディンダーデンがムキに成って馬を蹴立て、登り始める。
ローランデは目前の光景にそれでも唾を飲み込み、自分の番だと拍車を掛け、足を幾度も滑らせるディンダーデンの馬の後に続き
「はっ!」
とかけ声を掛けて馬を勢いづかせ、崖に駆け上った。
「…嘘だろう?」
シェイルは手綱を持ち上げ拍車を掛けようとし、背後のディングレーのぼそりと零す、言葉を耳にしてつい振り向くと、呆然と崖と登り行く盟友達を見上げるディングレーを見つめ、そっと尋ねる。
「重くて、馬が大変か?」
ディングレーが真顔で見つめ返し、つぶやいた。
「俺が降りれば、エリスは大丈夫だ」
前へと顔を戻すシェイルの、ため息混じりの声が聞こえた。
「あんたが、大変なんだな?」




つづく。

宝石赤宝石緑 この連載を、始めから読む星


ベル携帯でこの連載を始めから読む
 『野獣の初な恋心』『幼い頃』
の2008/6/11から
宝石赤

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