アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』晩餐での冒険11 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

が、扉が直ぐに開くと、そのエリューデ婦人が顔を出した。
明るい栗毛を結い上げ、品のいい暗褐色の落ち着いた色合いのドレスに白のレースがふんだんに施され、上品なアクセサリーを散りばめた、少し年輩ながらも細身で、少女のようにおっとりとした微笑みの婦人で、子供達は一辺に彼女が好きになった。
彼女はアイリスを見つめると、アイリスは彼女の手を取って軽く屈み、そっと、その甲に口付ける。
「アリルサーシャは本当に、残念だったわ」
心から気遣う彼女に、アイリスはそっと、頷く。
彼女の明るい青の瞳が潤み、だがにっこりアイリスに笑い掛けると、彼女はそっとその素晴らしい容貌の立派な若者にささやく。
「でもまだ貴方は若くてこんなにいい男なんだから。人生を楽しまなくちゃ、駄目」
だがローフィスもゼイブンも彼の打撃は知っていたものの、アイリスがそれを諦める気は全然無いのを知っていて、アイリスの「ご心配には、及びませんから」の返答に、二人とも微かに『そうだろう』と俯いた。
婦人は頷くと、隣の小さな貴公子にそっと、屈んだ。
「貴方もよ。テテュス。本当に、お父様そっくりだから、年頃に成ったら女性達がきっと、貴方の奪い合いに成るわね」
テテュスは微笑んだが、それがどういう状況か、解っていないのは誰の瞳にも、明らかだった。
そして婦人は、その滅多にお目にかかれない若くて立派な騎士達を眺めて、叫んだ。
「本当に、何とお礼を言っていいのやら!
『私欲の民』達と来たら、押し入った屋敷でそれは、残酷で凶暴ですからね!
この辺りには最近悪い噂が無くて、安心していた所に、これですもの!
でもたった一晩で退治してしまうなんて、それは素晴らしい武人ばかりと言う事ですわね!
今日ご招待した皆様に代わって、お礼申し上げるわ!」
オーガスタスが、その立派な長身を揺らして、丁寧に尋ねた。
「随分招待客が、多いようですが」
小柄な婦人は、その優しいライオンのような男を見上げて微笑んだ。
「感謝出来る機会を私が作りましたから、お礼を言いたい方はどうぞ。とご招待さしあげたら、こんなに大勢に成ってしまって」
ディングレーもギュンターも、俯いた。
ローフィスがそっと尋ねた。
「今日の招待はアイリスを労り、称える為じゃなくて?」
「皆さんの雄姿を一目見たいと、押し寄せたんでしょう。
だって、近衛の騎士だなんて、この辺りでは滅多にお目にかかれないんですもの。
それに・・・」
「それに?」
アイリスが丁重に微笑を浮かべて尋ねる。
「北領地[シェンダー・ラーデン]の、地方護衛連隊長がおいでだとか・・・。
勇敢なのにとても、品のいい貴公子だとかで、婦人方は一目お会いして、話の種にしたいんでしょう」
隣のシェイルも、他の連中も思わず、ローランデを見た。
婦人が、その静かで気品溢れるたたずまいの、姿のとても美しい騎士に目を止めると、アイリスにささやいた。
「あのお方が、そうですの?」
アイリスは頷くと、婦人はうっとりと彼を見つめた。
「女性の憧れの王子様を、そのまま現したような、気高くてロマンチックなお方ね?」
その評価に、アイリスはそっとギュンターを見たが、ギュンターは余所を向いて知らんぷりした。
ローフィスがそっと、顔を横向けてディングレーにささやいた。
「公爵家の召使い共が、誇りにかけても俺達を磨き上げる訳だ」
ディングレーも思わず、下を向いて吐息を、吐いた。

つづく。

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