アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』三人の子供と騎士達編131 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。


ローランデが姿を見せると、ファントレイユもテテュスも、レイファスもが不安げな表情を、見せた。
ローランデはテテュスとレイファスに微笑み、ファントレイユの前に立つと彼に屈んで、その両側から腕をそっと掴むと、瞳を覗き込んで告げた。
「私の講義は暫くお休みして、ゼイブンが引き受ける事に、成った」
ファントレイユは輝くような表情を見せ、が、ふと思ってローランデに告げた。
「引き替えに、貴方の講義は受けられない?」
ローフィスが横から、言った。
「後せいぜい、二日程だ。俺達がここに居られるのは。その二日も、危ない」
アイリスが、すまなそうに俯いた。
ローフィスは、気にするな。とアイリスを見る。
ファントレイユは顔を、上げる。
「・・・だが、ゼイブンが居なく成ったら私が君をみる事は、ゼイブンには内緒だ。彼は私が君をみると思うと、安心して私に、任せきりにする気だから」
ファントレイユは瞳を輝かせて、頷いた。
ディングレーも、笑顔で言った。
「せいぜい、ゼイブンに甘えてやれ!」
言われて、ファントレイユは思い切り、ディングレーに頷いた。

暮れかけた夕日が最後の輝きを食堂に放ち、皆が黙して椅子に掛け始める。ゼイブンが姿を見せ、ファントレイユが駆け寄る。
ゼイブンはその小さな息子を両手で迎えて、ローランデをそっと見ると、ローランデはシェイルと並び、二人は話をしていた。
「・・・もう・・・聞いたのか?ローランデから・・・」
ゼイブンが項垂れて聞くと、ファントレイユは心配げにそっ、とゼイブンを見上げてつぶやいた。
「・・・ゼイブンが、代わりに見てくれるって・・・。
違うの?」
ゼイブンは吐息を吐くと、ファントレイユに屈んだ。
「・・・だが、お前はローランデの方が、いいんだろう?」
ファントレイユは聞かれて俯き、顔を揺らすとささやくように言った。
「・・・でも、ゼイブンが見てくれるなら、嬉しい」
皆が素直にそう言うファントレイユを、一斉に見つめた。
ゼイブンは自分に視線を送る、レイファスとテテュスをも、見た。
「だがどう考えても、ローランデの方が講師としては、勝れてる。
あいつらに、遅れを取るかもしれない」
ファントレイユはゼイブンが、テテュスとレイファスを見つめているのに気づくが、ゼイブンに向き直って言った。
「ゼイブンが・・・教えてくれるんなら、それでいい」
アイリスは自分がテテュスにあんな事を言われたら、感激して息子を思い切り、抱きしめるのに。と思ったが、ゼイブンも同感のようだった。が、その不器用な父親は、俯くとじっと、自分を抑えてささやいた。
「・・・それでもここに、居られる時だけだぞ?
どれだけ居られるのかも、解らない」
「それでもいい!」
ファントレイユにきっぱり言われ、ゼイブンは息子の顔を真正面から、見た。
「俺がヘマしたせいで、とばっちりがお前に及んだ事は、謝る」
皆はゼイブンのその潔さに、感服した。
ファントレイユがそっと、聞いた。
「酒場で女の人を、助けたせいで、盗賊が屋敷に来ちゃった事?」
ゼイブンは、思い切り、動揺した。
「それとは、別件だ」
ファントレイユは、頷いた。だがそれ以上ファントレイユが尋ねる様子無く、ゼイブンは余計身に詰まされた。
つづく。
記事を読まれたら、こちら にポチッとお願いします♪