アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』三人の子供と騎士達編104 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

二階の暗い窓からその声が庭に響いた途端、ディングレーは顔を歪め、ギュンターは静かに剣を、下げ、ローフィスは舌打ち、オーガスタスは窓を、見上げた。
もうほんの、残り三人だった。が、その後ろから、闇に隠れていた首領とやらがのそりと姿を、現す。
いかつい顔でがっしりした体格の、下卑た男が笑い、言った。
「聞いたろう?剣を、捨てて貰おうか」
ディングレーがやけっぱちのように剣を地面に放り投げ、ギュンターはその手を下げて剣をからん・・・!とそのまま落とし、オーガスタスは首領を見、笑い、剣を後ろに放(ほお)った。
ローフィスは俯いたまま、ため息を吐くと、剣をそっ、と地に降ろした。


11 手柄

ギュンターは顔を上げて、オーガスタスを、見た。
オーガスタスは首領を見、笑みをたたえていた。
大柄な、ライオンのように風格のある男の微笑みに少し気圧されながらも、首領が口を、開いた。
「楽しそうだが、お終いだ。お前も近衛の男か?」
首領に訊ねられ、オーガスタスはにっこりと笑った。
「そうだ。左将軍の側近をしてる」
「位が、さぞかし高いようだな」
オーガスタスは肩をすくめる。
「・・・そうでも、無い」
ディングレーが、吐き捨てるようにつぶやく。
「で?俺達は皆殺しか?」
ギュンターは生き残った三人の盗賊のいかにも剣の使え無さそうな様子に、『こんな下手くそな奴らに斬られるのは絶対ごめんだ』と、思い切り眉をしかめた。
ローフィスも、気持ちは解る。と俯いて短い吐息を、吐く。
頭はぞっとする下卑た凶悪な顔を歪め、黒髪の気品ある尊大なディングレーに、笑った。
「こんな夜盗の手にかかって死ぬのは、誇りが許さんか?」
ディングレーが顔を大きく、揺らして頷いた。
「良く、解ってるな」
つづく。