アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』三人の子供と騎士達編103 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

テテュスが物音に気づき、寝台を滑り降り、目を擦ってその音のする廊下に、顔を、出す。
レイファスがその気配に気づいて、寝台から体を起こす。
テテュスが、廊下に顔を出して話している様子を目に、レイファスは目を擦って、何があったのかと、寝台を這い進み、そっと床に足を付けて寝台を離れた。
ファントレイユはまだ寝台に横たわっていたが、重い瞼と戦っていた。だがレイファスが、テテュスの方へと歩くのを見つけ、のろのろと体を起こし始めた、その時だった。
次の間の扉が突然開き、テテュスの後ろに行こうとしたレイファスの体がいきなり、その扉から現れた男に抱き上げられたのは・・・!
「・・・レイファス!」
レイファスの喉に、光る短剣が押しつけられたのを目に、テテュスが振り向き様叫ぶ。
ファントレイユは反射的に身を起こしてそれを、見た。
バタン・・・!テテュスの後ろから彼の叫び声を聞き、扉を蹴立ててアイリスが飛び込んで来、男は静かに、腕に抱いた小柄なレイファスの喉にぎらりと光る短剣を突き付け、アイリスに告げた。
「・・・殺されたくなかったら、剣を、捨てろ!」
テテュスはアイリスを、見たが、アイリスは顔色も変えず、そっと屈んで、血の付いた剣を床に、置いた。
男はそれを見るなり、大声で叫んだ。
「人質を、取ったぞ!綺麗な餓鬼だ!お宝だ!」

ローランデはその声が、開いた扉の向こうから聞こえ、戸の前の暗がりにもう一人の男が居るのに、気づく。
男は、ローランデとシェイルを見、笑った。
その男の背の向こう。
開いた扉から背を向けた男の腕の中に、子供の頭が見え・・・窓から差す月明かりでそれが、鮮やかな栗毛で小さなレイファスだと解り、愕然と、する。
「・・・さあ・・・剣を捨てて、貰おうか」
見つめる男に言われ、ローランデは俯くと剣を、床に、投げ捨てた。
からん・・・!
シェイルは苦い表情でローランデを見たが、ローランデは黙って頷き、シェイルは脇の剣を鞘毎引き抜き、そっと屈んで、床に、置いた。
それを見て、男は走り寄り、二人の床に置いた剣を腕に抱えて拾い集め、ローランデに脇差しを抜いて渡せと視線をくべ、ローランデは顔色も変えずそれを鞘事抜いて、男に手渡した。
男は大人しく立つ二人に視線をくべ、その動向を監視したまま窓辺に近寄ると、窓を押し開けて外に向けて怒鳴る。
「お頭!餓鬼を人質にしたぞ!」
つづく。