アースルーリンド外伝。テテュス編。『幼い頃』 101 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

ファントレイユはだが、怒っても無駄だと思えるくらいにシェイルがすばしっこくて、良く考えたら飛んでくる短剣を全部避けてしまう位カンのいい相手だから、どれだけ剣を振っても当たらないんじゃないかと思った。シェイルが、怒鳴った。
「お前の方が小柄で素早い筈だ。俺より早く動けないんじゃ、餓鬼の面目が立たないぞ!」
ファントレイユはかっ!と来て、ついまるで、鬼ごっこのようにシェイルを追いかけ始めた。
避けるシェイルを足で追いつめて、剣を振る。シェイルはその美貌で、笑った。
「レイファスのへなちょこ剣と、どっこいどっこいだな!そんなん、当たるか?」
シェイルがとうとう、持っている剣を下げ、当ててみろ、と姿を晒すので、ファントレイユは思い切りムキに、成った。
ぶん・・・!
さっと体を横に倒すシェイルに難なく避けられ、剣は音を立てて空を切り裂く。
「・・・いい音だ!」
向かっ腹立ったファントレイユは必死だった。
足を使って剣を振るのが、上手く出来なかったけど構わなかった。追いつめ、その途中でも剣を振る。
ディアヴォロスの言葉が蘇った。
最小の、振りだ。相手にそれと、気づかれない程の。
そうだ・・・。そして・・・。
シェイルに左に、頭の高さが変わらないまま素早く移動され避けられて、短い振りを幾つか、入れる。
そして・・・。
瞬間、シェイルが自分の間近に来た時、突き入れた。
シェイルはおっと・・・!と声に出したが避けた。
まだだ。全然、駄目だ・・・。
ファントレイユはまた、短い振りを幾つか入れた。
足を使うから消耗が倍、激しかった。
足を鍛えろと、言われた理由が痛い程、解った。
息が、上がった。だが・・・。
ファントレイユの疲労に、気づいたシェイルが、気迫を解く。
その瞬間、ファントレイユは駆け寄り、突っ込んだ。
剣の突き入れる位置を、途中で変えた。
シェイルは避けたつもりでその剣が腹に入って来るのを感じ、瞬間後ろにすっ飛んだ。
ファントレイユは突き出した剣に手応えを感じず、肩で息をして剣を、握りしめた。
シェイルはファントレイユがそこで止まるのを見て、つぶやいた。
「なかなか粋な事をするな・・・」
ファントレイユは頷こうとし、息が切れて無理だった。
シェイルがそっと側に寄ると背に手を掛け、ファントレイユは息切れで死にそうな自分に気づいてその場に、座り込んだ。ふと顔を上げると、レイファスも少し離れた場所で座り込んで居て、ローランデに声を掛けられていた。
右腕を持たれ、肩を触られていたからきっと、短剣の投げすぎで右腕がひどく痛むんだろうと、ファントレイユは思ったが自分も足が、ぱんぱんだった。
大人達がテテュスに、拍手を送ってるのに気づいた。
テテュスはどこも、痛くないのかな。とぼんやり思ったが、まだ切れた息は戻らず、ファントレイユは体を丸めたまま息を、吐き続けていた。
つづく。