アースルーリンド外伝。テテュス編。『幼い頃』 29 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。


ディングレーとローフィスが、くたびれ切ったようにテラスの椅子に体を投げ出して掛け、テテュスとレイファスは、また放り上げてくれないかなと見つめたが叶いそうに無い位、ローフィスは消耗してる様子だった。
ファントレイユが、レイファスに聞いた。
「二人は、恋人同士なの?」
あまりにも素朴な疑問で、レイファスはつぶやいた。
「ファントレイユ。女って生き物は時々とんでも無い事を想像するんだけれども、それがどれだけ現実からかけ離れていても、自分が決して間違って無いと信じ込んでるんだ」
ファントレイユは頷いた。
「それって二人が恋人じゃないのに、セフィリアとアリシャはそう思い込んでるって事?」
レイファスは呆れたように言った。
「だってどう見ても、恋人に見えないじゃない!」
「でもセフィリアはいつも言ってる。殿方は何かやましい事がある時程、何にも無いって顔をするから、言う事は全然信用出来ないって」
レイファスは眉を、寄せて訊ねた。
「ゼイブンが、いつもそこら中の女性と浮気してるから?」
ファントレイユはまた、頷いた。
「・・・シャーレス侯爵婦人と、宿屋から朝出て来る所を見られてるのに、彼女とは別に何もない、ってしゃあしゃあと嘘を付かれた、って言っていた。浮気しても良い。って言ってあるから、正直に関係した。って、どうして言えないのかしらって。凄く、怒ってた」
レイファスは、呆けた。皆がつい、聞き耳を立てた。
ファントレイユは続けた。
「・・・どうしてゼイブンに嘘を言うの?って聞いたら、条件反射だって。やっぱりご婦人は、浮気していいと言いながら、自分が一番だと思いたいからつい、他の女性とは無かった事に、してしまうんだって。
レイファス。意味解る?
僕も正直に言った方がセフィリアは納得すると思う」
「でも正直に言ったらセフィリアは、不潔って思って、ゼイブンがセフィリアにキスしたくなっても嫌だと拒絶すると思う」
「じゃあどうすればいいの?
ゼイブンは浮気していいって言われたのに」
「それはだって、駆け引きだろう?いいと言われて本当にしたら、睨まれるんだ」
素直なファントレイユはそれは、混乱した。
「して、いいって言って、でも本当は、駄目なの?」
「相手を、試したい時は女性は時々、やるみたいだ。大抵の男は嘘を付くから」
「・・・どうして嘘を付くの?」
「勿論、目の前の相手に、一番良く、思われたいからさ。たった一人だけ好きならいいけど。でもゼイブンだってセフィリアの事凄く好きなのに、農家の女将さんととても仲がいいのを、知ってるでしょう?」
ファントレイユは俯いてつぶやいた。
「どうして、たった一人に出来ないんだろう・・・」
「・・・年頃の男は相手が誰でも、いいらしいんだ。体の構造が、そうなってる」
この言葉に、テテュスは飛び上がりそうにびっくりし、ローフィスはつい、吹き出しそうになり、ディングレーは呆れた。
ファントレイユはしょんぼりして。つぶやく。
「・・・・・・じゃ、僕も大人になったらそうなる?」
「多分ね。でも、ほどほどにしないと、本当に大切な相手に、信じて貰えなくなるって」
ファントレイユは、頷いた。
「体の構造の、せいか」
レイファスも、『そうだ』と頷いた。
テテュスはあんぐり口を開け、ローフィスは口を抑えて笑いをこらえ、ディングレーは目を、まん丸にしていた。
二人ははっ、と皆を、見た。
テテュスが、レイファスをまじまじと、見つめた。
「ファントレイユ・・・・・・」
レイファスがしょんぼり、彼を見た。
レイファスがしょげているので、ファントレイユはテテュスに言った。
「レイファスは本当は凄く、やんちゃなんだ。でもそうすると、アリシャが心配するでしょう?アリシャは体が弱いし・・・でもレイファスは悪戯も暴れ回るのも大好きで、我慢出来ないから・・・。アリシャの前ではもの凄く、いい子してるんだ。
とっても、大変だと思わない?」
ローフィスがついに、大口開けて笑い転げ、ディングレーに呆れて見つめられた。
テテュスはぼそりと、つぶやいた。
「そう・・・なんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
彼の中に咲き誇ったピンクの花が、枯れて落ちていくのが、皆の目に、見えるようだった・・・・・・・・・・・・・・・。
つづく。