今日からは『ファントレイユとの出会い編』
17話になります。
ええと。アイリスとギュンターが野営地に現れ、
アデンを逮捕。口を割らせた後
ギュンターは先に戻っています。
アイリスはファントレイユと王子と共に
ギデオンの居る砦へ。
ローゼの口を割らせた後、
アイリスが連行します。
その後の、お話から始まります。
この後に掲載予定の
「地方護衛連隊長会議、その一ケ月後」
は、この17話にこれから掲載する会議の
その一ケ月後を書いています。
アイリスが、オーガスタスの代理で議長を務める、という内容です。
アイリスはローゼを連れ、『神聖神殿隊』付き連隊官舎の前庭に入った時、その建物の前に居る金髪の美丈夫の姿を見つけた。
既に昼はとうに過ぎ、内庭の木々は風にそよいで、気持ちの良い天気だった。
アイリスは部下達に頷くと、彼らは察したように、ローゼを乗せた馬を引いて、別棟へと、向かって行った。
ローゼが、後ろ手に縛られ、馬に背を揺らしながら、アイリスに振り向いて叫んだ。
「解ってるんだろうな?ギデオンが命の保証をしている!」
アイリスはそう叫ぶ、金髪の年若い刺客の歪んだ表情を見つめ、少しためらったが、微笑んだ。
「・・・ギデオンの保証は、尊重しよう」
ローゼが途端、ひどい緊張を解き、ほっと息を吐きだした。
アイリスは少し肩をすくめたが、玄関で腕組みして待つ、美丈夫の近く迄栗毛の馬を進め、微笑む男の前で馬から、相変わらずゆったりとした優雅な動作で、降りると、その男を見つめて言った。
「・・・ギュンター。首尾は上々の、ようだ」
ギュンターが、腕組みしたまま、さも愉快そうに、微笑んだ。
「・・・ギデオン暗殺の知らせに飛び上がり、ダーフス大公が動き、ディアヴォロス迄、動いたぞ!」
「・・・つまり、ドッセルスキの周囲は丸裸か?」
「ダーフス大公がドッセルスキを見捨てた上、ディアヴォロスが脅しをかけりゃもう、ドッセルスキに付く馬鹿は、居ない。
・・・ギデオン暗殺が、モノを言った。
世事に疎い、軍神ディアヴォロスでさえかんかんで、直ぐ様ドッセルスキに付く男達に、刺客のような使者を差し向けたと、シェイルが言っていた」
「・・・・・・・・・では準備は整ったな?」
だが、ギュンターはまた嬉しそうに、笑った。
「ドッセルスキを捕らえるんだな?」
が、アイリスは一瞬、表情を固めた。
「・・・ギュンター、君まさか・・・・・・・・・」
ギュンターは笑ったまま、言った。
「おや?君も立ち会いたかったか?
ドッセルスキの逮捕に」
アイリスはとっくに先を超されて、俯いてため息を一つ吐くと、帽子の頭に手をかけ、それを滑り降ろしてささやいた。
「・・・当たり前だろう?どれだけ楽しみに、していた事か・・・・・・・・・。
だが、まあいい。
どうせ立ち会ったって、罵り倒されるのが、オチだしな」
ギュンターはますます笑った。
「・・・それは俺が全部聞いてやった。
裁判の席じゃさすがにお前を罵れはしないさ!」
アイリスは少し笑うと、ギュンターの組んだ腕の横を、パン!と叩き、抱いて促した。
ギュンターは腕組んだまま、まだ愉快そうな笑顔で、アイリスと共に促されるまま官舎に、入った。
つづく。