アースルーリンド外伝。ファントレイユとレイファス。『幼い頃』9 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

3 一緒の、時間


 レイファスはセフィリアの前ではそれは、しおらしく、病気の母親が心配な様子をして、見せていた。
が、朝食後にファントレイユの家庭教師が来て、書物を一緒に広げると、態度が、一変した。
書物を、教師が読み進める間も与えず、次から次へと新しい言葉に対しての質問を、投げかける。
いつものどかに教師の朗読を聞いていたファントレイユは、びっくりした。
教師は時々、しどろもどろになって、レイファスの質問に答える。数行読み、また知らない言葉を聞くとレイファスは、その使い方を聞き、どんな風に言い回すのかの事例を尋ね、どんな場合に使うと効果的かも、尋ねた。
一時間を超える時間の間レイファスは、質問し続け、ファントレイユはどうしてレイファスがいつも、大人のように言葉を言い回すのかその理由が、とても良く、解った。
まるで教師とレイファスの、戦いのような時間の後の、お茶を平和な気持ちで迎え、ファントレイユはレイファスに尋ねた。
「いつも、あんな風なの?」
その質問に、レイファスはファントレイユを、見た。
「だって、ぼんやりしてると退屈じゃないか。
いつか来た時君が講義を受けてるのを見てたけど。
良く、あれで眠く、ならないな?」
ファントレイユは、呆れた。
レイファスの世界には、安らぎとか、平和にのどかに時間を過ごすやり方は、存在しない様だった。
「言葉を覚えるのが、好きみたいだ」
ファントレイユは、レイファスを、見た。
およそ書物とか、堅い物が似合いそうにない、それは可憐で可愛らしい顔立ちだった。
レイファスは見つめられて聞いた。
「一人で居る時、本を、読んだりしないの?
立派で格好いい騎士がたくさん出てくる、大人の冒険物とか歴史が大好きだけど、解らない言葉が出て来ると、イラつくんだ。
意味が解らないと、せっかくなのにわくわく、出来ないだろう?」
「本を、読むの?一人で?」
ファントレイユは本というものは大抵、セフィリアが読んでくれるか、家庭教師の読む物だと、思っていた。
レイファスは、彼の綺麗な人形のような顔を、見た。
が、ファントレイユにもその時、レイファスが自分をどう思ってるのかが、解った。
姿が人形みたいで、頭の中も同様に、脳味噌の代わりにおが屑が、詰まってるんだと、言うような表情だったから。
ファントレイユは少し、不機嫌になった。
「勉強は、嫌いじゃないけど」
「でも君は、人に言われないとやろうと思わないみたいだ。自分で、これをしようとかあれをしようとかは、思わないの?」
ファントレイユはふと、レイファスが尽く人の意見を聞かず、自分のしたい事をどんどん実行する様子に気づいた。確かに、自分は彼に比べると、セフィリアから、これをするととてもいいだとか、こういう事が必要だから覚えるように。だとか。人に言われた事を、してきたと気づいた。
ファントレイユが言葉に詰まる様子に、レイファスはつぶやいた。
「何が好きで嫌いとか。これはしたい。あれはしたくないって事なんだけど」
ファントレイユは、か細い声で、つぶやいた。
「好きはいっぱい、ある。嫌いは・・・・・・。
薬草を煎じて飲むのは、大嫌いだけど、あれを飲まないとセフィリアがとても悲しむんだ」
レイファスは、頷いた。
ファントレイユはきっと、とても幼い頃から、いっぱい我慢して来たに違いない。それでその我慢が、当たり前に、なっている。
「したく、ない事は?」
ファントレイユは、顔を揺らした。
「じゃ、したい事」
「思い切り、水遊びしたい」
レイファスは、全開で、笑った。
つづく。