アースルーリンド外伝。ファントレイユとレイファス。『幼い頃』4 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

レイファスはそれ以来、ファントレイユには本音を、ブチまけるように、した。ファントレイユは最初、目を丸くしていたようだが、レイファスの地の性格が実は、見かけ道理のお行儀のいい可愛い子ちゃんで無く、いたずらも愉快な事も、暴れ回るのも大好きな、普通の手に負えない悪餓鬼だと言う事を、解らせる事に成功した。
「よく、息がつまらないな?」
お人形のような彼にそう言うとファントレイユは返した。
「・・・よく、ころっと変われるな?」
レイファスは思い切り、肩をすくめた。
「お行儀、お行儀、お行儀!
なんだって女親ってお行儀にこだわるんだろう?
僕は女の子じゃ、無いんだぞ?だいたい、男の子ばっかの間で大人しく、可愛らしくなんて、やってられるか?誰が一番高く迄木に登れるとか、誰が猛犬の目を盗んで、りんごをたくさん盗むだとか。
そっちの方が、うんと重要なのに!」
レイファスの言い切りに、ファントレイユは目を丸くした。
「りんごを盗むの?」
「・・・・・・ああ・・・。
君は言いつけ通り、領地から出たりはしないんだっけ?」
「言いつけに、そむいてるの?」
レイファスは目を、丸くした。
「・・・言いつけ通りにずっと、従ってるの?」
「・・・だって、言いつけは守るものだろう?」
「・・・言いつけなんて大人の都合を子供に押しつけてるだけだから、普通の子供は破るのが当たり前だ」
ファントレイユは暫く俯いて、考え込んだ。
「君、お人形みたいだと思ってたけど、本当にセフィリアの、お人形なんだな?」
ファントレイユが、顔を上げた。彼より少しは大柄だった。ファントレイユのとても綺麗な顔立ちを覆う、ふんわり柔らかな淡い色の髪が肩の上で、揺れた。
「・・・僕が、人形みたい?どうして?」
レイファスは彼の腕を掴むと、大鏡の前へ、連れていった。小柄な自分よりも幾分背の高い、淡い色の髪をして、クリーム色の衣服のとても栄える、それは綺麗な彼の姿がそこに、映っていた。
「・・・自分を見て、そう思わない?」
ファントレイユは、自分の姿を眺めたものの、まだ腑に落ちないようだった。それでレイファスはようやく、セフィリアには彼の母親アリシャのように、綺麗な人形が大好きで、集めて飾って、眺める趣味が無い事に、気づいた。
「・・・君の屋敷に人形は、無かったな・・・・・・・・・」
ファントレイユは、頷いた。
「・・・あんなものより、腕のいい画家の絵を飾るべきだし、その方が絶対心が潤うって、セフィリアは言っていた」
ファントレイユが言うので、レイファスは頷いた。
「君のお母さんは文学少女で、少女趣味は、無いもんな」
「君は、随分色んな言葉を知ってるんだな?」
「家庭教師が、色んな事を話してくれるし。彼は大抵僕の話を聞いてくれて、それについての意見を言ってくれる。
絶対、自分の考えを押しつけたりせず、必ずどう思う?って。僕の意見をちゃんと聞いてくれるんだ。凄く、ほっとする。
でも女は、駄目だ。
人の話なんてそこそこで、すぐ自分のやり方を、押しつけてくる。心配だとか、怪我をするからとか言って」
「・・・でも、心配かけると、辛くない?とても悲しそうで、一生懸命な姿を、見たりすると」
「セフィリアは熱を出した君もいつも、看病していたからそう思うの?」
ファントレイユは、大人しく頷いた。
「・・・元気になるといつも、ほっとしたみたいに力一杯、抱きしめてくるから、心配かけないようにしたいんだ」
レイファスは、母親想いの彼は随分見た目と違って、ちゃんと男の子なんだ。とは思ったが、言った。
「気持ちは解るけど。男の子としてちゃんとこの先、やっていけるようになる事が一番、親孝行だと思うな」
「親孝行?」
「セフィリアの心配じゃないって事!
君だって、軍教練校に入校する気なんだろう?あそこは男ばっかだし、騎士志願者なんて、洗練されている者なんてほんのわずかで、乱暴者ばっかだって。僕もそうだけど、君もあんまり体の大きな方じゃないし。うんと剣の腕を磨くか、相手を言いくるめるか、ともかく、殴られないよう身を護れなきゃ、学校を自分から、止めなきゃならなくなるしそれは凄く、不名誉だと思う」
「不名誉?」
「みっともないって事さ!」
そう言った時、ファントレイユは青くなった。どうやら彼は、みっとも無いのは、嫌いらしい。
つづく。