アースルーリンドの騎士追加特記その71 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

「・・・痛むか・・・?すまない。気を付けた、つもりだったが」
ギデオンの、掠れて弱々しい声に、ファントレイユは振り返り、切なげに眉を寄せるギデオンのとても綺麗な心配げな顔を見て、困惑仕切った表情を一瞬浮かべたが、直ぐに普段通りの優雅な微笑を取り戻すと、ギデオンを見つめて答えた。
「・・・少し、滲みるだけだ。
君にしては素晴らしく優しい」
その言葉と、普段通りのファントレイユの微笑みに、ギデオンの眉が思わず寄る。
「・・・私にしては・・・・・・・・・・・・・・・?」
ファントレイユは途端、いつものような少し戸惑う表情を浮かべ、一つ、ため息を付くとそっと、ささやくようにギデオンに、顔を寄せてつぶやいた。
「・・・だって君、およそ繊細な事は、苦手だろう・・・?」
ギデオンは、感激が思い切り薄れるいつも通りのファントレイユの受け答えに、また思い切り眉を寄せて、今度は低い声で、ささやき返した。
「・・・・・・・・・傷の、痛みくらい解るぞ?」
だがファントレイユは、本当に?という顔をして、見せた。
「だって・・・ジャンジャンが傷を負って喚いた時、君が薬を塗っていたが、あれは確か・・・・・・拷問に近かった・・・・・・・・・」
途端、レンフィールとヤンフェスは、知っているのか思い出して二人同時にぷっ、と吹き出した。
アドルフェスが、呆れて彼らを、見る。
ファントレイユは、思い切り眉を寄せているギデオンに、問いかけるようにそっと、首を傾けてささやく。
「・・・君に薬を塗られてもっと、喚いただろう?
君は、喚くのを止めようとしたらしかったのに、君に薬をその・・・・・・・・・。あんまり優しく無く塗られて、もっと五月蠅くなったのを、覚えていないのか?」
瞬間ギデオンは、自分のヘマで大怪我を負った間抜けなジャンジャンの場合と、彼の場合との違いを全く無視するファントレイユに怒りが沸き上がったが、ぐっとこらえた。
その瞳が、真っ直ぐファントレイユを見据えて問う。
「・・・・・・君の傷に塗った時も、拷問だったのか?」
ファントレイユは一瞬たじろぐ様子を見せたものの、返答した。
「・・・いや?
とても優しかったからもの凄く・・・・・・・・・・・・意外だった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ギデオンが、言葉を失い眉間に皺を寄せたまま、ファントレイユをじっと、見つめ続けた。
レンフィールは笑いが止まらず、アドルフェスはギデオンが手ずから傷の手当てをした事に、不満そうに眉を寄せていた。

つづく。