腕の良い職人さんの集め方 | WAS IT ALL WORTH IT ?

私が親しくしている某建設会社の社長さんの会社には、

大工さんから左官屋さんにいたるまで、実に腕の良い職人さんが

集まっています。


集まるにはそれなりの理由があるのです。

この社長さんから聞いた話を一つ・・・。


ある時、社長さんの息子さんが、父親である社長さんの乗っている車を

指差してこう言ったそうな。


「おやじい!こんな国産の車やめて、ベンツに乗れよ。」


その時、社長さんは、息子さんに怒ってこう言ったらしい。


「だからお前はダメなんだ!

俺だってベンツの2台や3台、キャッシュで買うくらいの金は持っとる。

だからといって、そんな車に乗ってみい!

職人達がついてこん!お前は人の心がわかっとらん!

それでは人は動いてくれん!」


パチ、パチ、パチ!・・・と、私は思わず拍手がしたくなりました。


実際、建築の世界で、現場の職人さんに最も嫌われるのが、

若い派手好きな設計士さん。


若いうちから、カッコをつけて外車(無理してローンで買ったんでしょうが・・・)に

乗って現場に現れ、ちゃらちゃらした派手な服装で、自分より年上の職人さんを

見下すような態度をとる。


しかし、この手の若い設計士さんに限って、現場のことをあまり知らない人が多く、

納まらない設計図を描いてしまい、現場は大混乱。

それどころか、最後には、職人さんの仕事にケチをつけ、建築主様には、

いけしゃーしゃーと、

「ボクがしっかりと監理したおかげで、これだけの傷、発見できました!」

と、ひたすら自己PR。

自分を売り込むことしか考えていないわがままな性格が、ますます、職人さんから

ひんしゅくをかうことになり・・・・良い家づくりにとって、最悪のパターンです。


一方、建設会社の社長さんも、嫌われる社長さんの下には、良い職人さんは

絶対に集まらない。


「支払いが悪い。」

「月末締めの翌々月末払い・・・手形も使う。」

「一番安いところを使うぞ!もっと安くしろ!・・・と職人さんをてんびんにかける。」

「下職さんに値切っておいて、自分は高級車を乗り回す。」


やってはいかんことを、全部やってしまっている社長さんのもとには、

絶対に良い職人さんは集まらないです・・・・・。



私も、一番最初に書いた尊敬する某社長さんを見習い、

お客様の家を、良い職人さんにしっかりと建築してもらうため、日々、

気苦労の毎日です。


まず、私がしているのは、


「締めから支払いまでの期間を10日以内とする。」

→これは、下職さんから、大変、高い評価をいただいております。


「値段で職人さんを選ばず、自分がこの人!と、決めた職人さんを使い続ける。」

→この結果、すべての職人さんが、私の無理を聞いてくれるようになりました。


「頑張ってくれた職人さんには、報酬以外に、別途、お礼をだしています。」

→このお礼は、会社のお金ではなく、私、個人の貯金を切りくずして、

毎回工事の後、特に頑張ってくれた職人さんに手渡しています。

職人さんは、もちろん、はじめは拒み、受け取ろうとはしませんでした。

しかし、お客さんのために毎回、頑張って仕事をしてもらいたい!

・・・・という気持ちを伝えるために、頑張ってくれた職人さんには、

私は感謝をこめて工事が終わるごとにお渡ししています。

(その結果・・・・私の貯金はいつまでたってもたまらない・・・・。ガクリ あ、あううっ)


その他、極力、心がけているのが、

注文住宅の場合などは、特にそうなのですが、


「出来る限り、建築主様に現場に行っていただく。」


・・・ようにしています。


そうすれば、職人さんたちも、


「この人たちの家を、自分は今、つくっているんだな。」


という、実感がわき、仕事にやる気も出てきます。



今では、私が現場で、一つ一つ説明しなくても、ほとんどの職人さんが、

私の設計パターンや、ディテールの決め方、判断の仕方、考えの手順など、

そういったものを、事前にピタリと予測できるくらいまでになりました。


「たぶんGさん(私のこと)なら、ここをこうするって言うんじゃないかなー?」

と、現場で職人さんに事前に、予想されてしまう、今日この頃です・・・。



今回のAT様邸の工事も、大工さんたちは、他の仕事を一時、離れて、

応援に駆けつけてくれました。


ありがたいことです。