2023年の或る日、YouTubeで『クレヨンしんちゃん』に関する一つの動画を見かけた。

 

みさえ(母)が便秘に苦しんでおり、ひろし(父)が「しんのすけ」に「いいかくれぐれも、みさえを怒らせるようなことは言うなよ。たとえば『尻がたるんでる』とか『しわが増えた』とか『便秘怪獣うんこマン』とか」などと忠告したところ、ひろしの背後にみさえがいて、みさえがひろしを連続でビンタするという動画であった。

ビンタの被害を受けたひろしは両頬が膨れ上がるほど腫れてしまっており、鼻血も出ていた。

 

コメント欄を見ると、「連続ビンタ…面白過ぎます」などといったコメントが多かった。『クレヨンしんちゃん』はギャグアニメだし、このシーンもギャグシーンとして製作されたのだと思われる。

 

これを見て私は或ることに気づいた。それは、これが男女逆だったらギャグとして成り立たないのではないかということである。

みさえが「しんのすけ」に「くれぐれもパパを怒らせるようなことは言わないこと。たとえば『安月給マン』とか『靴下悪臭野郎』とか」などと言ってるのを聞いたひろしが、みさえを連続でビンタするシーンが仮にあったなら、このシーンで大笑いする視聴者はいないはずである。

 

これはキャラの性格が影響しているのかもしれないし、便秘という題材のおかしさが影響しているのかもしれない。

 

もし「女性が男性に暴力をふるうのは社会的に容認されやすいという傾向」が存在するのであれば残念だし、この傾向が『クレヨンしんちゃん』のこのシーンと無関係でないのならば更に残念だと個人的には思う。