台風🌀の季節になると思い出す話がある。

母が子供の頃の話だ。

母は高知県の出身なのだが、高知県は今私が住んでいる大阪とは比較にならないほど台風の被害が大きい地域で台風には慣れている。

ある年それが仇となる。

毎年ではあるがその年も大型台風が高知県を直撃するという予報が連日報道されていた。

さぁ大変だと家族全員で、台風が来た時の準備を始めた。

そうこうしているうちに雨が降り出した。

「台風が近づいてきてるぞ‼️急げ‼️」

雨はどんどんひどくなり、強風が吹き始めた。

「雨戸を閉めて板を打ち付けろ‼️」

なんせ台風には慣れっこだ。

防災対策も万全だ。暴風雨の中びしょ濡れになり、飛ばされそうになりながら板を打ちつけていると

急に雨と風がおさまって、太陽が差し込んできた。

ん?と思って手を止めた所に一家の長である祖父の一喝がとんだ。

「今は台風の目やき‼️気を抜いたらいかん!今のうちに終わらせにゃ‼️」

今は台風がどこにいるかを携帯でリアルタイムで確認する事が出来るが、昭和時代はそうではなかった。

さんさんと降り注ぐ夏の太陽のもと、今度は汗だくになりながら全ての雨戸と窓を打ちつけた。

もうどんな台風が来ても大丈夫👍だと、祖父のお墨付きをもらって安心してテレビをつけると、なんと台風は大きく進路を変え、高知に上陸することなく

過ぎ去っていたのだった。

今打ちつけ終わった板を外さねばならない作業を思うと良かったという喜びよりも『なんでそれたんだ⁉️』という残念な気持ちの方が優ったと母はしみじみ語った。