こんな映画知ってる? | Hi な薬剤師の備忘録

こんな映画知ってる?

日本の皆保険制度は世界でも類を見ないすばらしいシステムです。

国民が労働の対価として得た報酬の中から、応分の掛け金を支払うことで万一の疾病障害に備えるこの相互扶助による医療保険システムは、医療先進国であるアメリカやヨーロッパにはありません。

ほとんどの国は受けた医療の対価を現金で支払うか、個々人が生命保険の医療特約ようなものに任意で加入し万一に備えています。


そうです。

大げさな言い方をすれば、日本以外の国では、「金のない奴は苦しんで死ぬ」しかないのです。


うそだと思うでしょ?


ひところ話題になったので知ってる人も多いと思うのですが、こんな映画があります。

まぁどっちもアメリカの映画ですけどね。


「ジョンQ」

ある日突然に最愛の息子を重い心臓病という病魔が襲う。

病名は心室中隔欠損。

診断の結果は心臓移植しかないが、父親の加入していた医療保険を会社が勝手にランクダウンしてあり、移植手術が適用されないためレシピエント登録ができない。

デンゼルワシントン扮する父親「ジョンQ」は拳銃を片手に病院をロックアウトし、息子の待機者登録をするよう要求する。


「シッコ」

アメリカの医療制度の問題点を、実際の取材を通して映画化した笑いと戦慄の問題作。

アメリカでは大病を患うことは死を意味する?

詳しい内容は

「Sicko」

に書いてありますから、是非目を通してみて!


アメリカ人がビタミンやサプリメントに群がるのは、日本のような医療システムがないからであり、自分で自分の身を守るしか道が残されていないからです。

あんなもの見習う必要はないんです。


さて、なぜこんなことを書いたかというと、来月20日に地元旭川にお招きする夕張医療センターの村上智彦医師と、先日ゆっくりと話をしてきたから。

彼は患者への自己管理意識教育を通して、決して先端ではないごく基本的な医療によって疾病罹患率の低下を目指し、医療費削減と地域住民の健康増進を現実のものにしてきました。

その詳しい話はここには書きませんが、彼の話を聞き、僕たちは上記のようなう映画を見てアメリカや他国の医療制度に対して優越感を抱くより、今ある国民皆保険制度という宝物を失う怖さを考え、与えられることがあたりまえの医療は間違いだと知るべきだと思ったのです。


いいですか?

度重なる医療制度改革規制緩和、一部のわがままな国民の保険料未納などによって、医療財政は逼迫し、一部負担金は引き上げられ、老人は医療制度から切り離されて介護保険の枠内に押し込まれ、国庫負担は限界を向かえて保険料がまた上がる。

医療は「包括」という「いくらやっても○○円しか出しません」式の報酬体系へと収束されていく。

これはね、

「医療者が儲からなくなる仕組み」

ではなくて

「みんながこれまで受けられていた十分な医療が受けられなくなる」

ことを意味してるのです。


「包括」で医療費が削減されてよかったねと喜ぶ人が必ず出てきますが、その人はどうせ「バカ」ですから、TVから垂れ流されている根拠のかけらもないCMでも参考に、コンビニで何が入ってるかわからないサプリメントもどきでも貪り食いながら、せいぜい健康に気を使って一生を過ごしてください。

あなたに回す医療費は、本当に困ってる人に回しますから。


医療者は一生懸命やってもこれを担保する報酬が得られない。

それどころか削減される医療費が医療安全に必要な限界経済を下回り医療事故が増えそうになる。

マスコミによって間違った被害者意識を植え付けられた国民はこぞって医療者を訴える。

人の命と健康を救うという崇高な目的を失った医師は次々と現場を去っていく。

残った医師や看護師たちは、足りない人数で危ない医療を続け、医療訴訟がまた増えていく。


最近、生命保険に医療関係の特約が増えているでしょ?

この特約(オプション)というのが「ジョンQ」で問題となっている部分。

日本は国民健康保険制度があるから、今はまだ大丈夫ですが、生保のオプション枠を増やして国保の「包括」範囲が増えたらどうなります?


小泉内閣以来わが国は健康や命まで「流通」や「経済」で考えるようになりました

規制緩和を先頭たって叫んでいた当時の委員会の委員長はオリックスの宮内というサラ金屋の親玉です。

金儲けしか頭にないやつらが国民の医療や健康に口出ししている。

この国の政治家は「バカ」ですかと・・・。


病院の会社化、薬品の無資格販売、食料輸入緩和のための禁止農薬の規制解除・・・

日本はいつからこんなだらしない国になったのでしょう

アメリカ追従の政策は、見習わなくていいところまで見習っているのです。


同盟国という徒党を組んであちこちで不良のように喧嘩を吹っかけ、自国の国民の健康も満足に管理できず、あまつさえ自己防衛と称して一般国民にピストル携行の許可まで出す。

アメリカは世界で一番カッコワルイ国なのに、いつまでそんな国ばっかり見てるんでしょうかね。


どうです?「ジョンQ」や「シッコ」の世界が近づいていることがお分かりいただけますか?


僕もそうかもしれいけど、皆さんはあたりまえのようにある医療保険に甘えすぎていないでしょうかね。


あーついでに言っておきますが、医薬品の規制緩和問題で「ぼくちゃん風邪ひいたら24時間開いてるコンビニで葛根湯を買いたいんだもん」と言っていたのは医薬品部門をも持つ旭化成グループのシンクタンクにいた鈴木という人です。

ケミカルメーカーが聞いてあきれます。


わー言っちゃったー((((((ノ゚⊿゚)ノ