『越後つついし親不知』・銀幕の女優さん41・ 佐久間良子さん② | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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戦前のフランス映画が大好きです。
基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
ご了承くださりませ。

水上文学のしっとり感  完璧

 

 

ついに本作品を見ることができました。
初めて鑑賞です。

水上勉原作、今井正監督

『越後つついし親不知』

偶然、放映予定を知って   ラッキー!  でした。

物語に入る前にちょっと整理してみます。

水上作品の映像化で、私が取り上げたものを

公開順に並べてみると

                                                       監督
1962年
       『雁の寺』                          川島雄三
1963年
      『五番町夕霧楼』                田坂具隆
      『越前竹人形』                    吉村公三郎
1964年
      『越後つついし親不知』     今井正
1965年
       『飢餓海峡』                        内田吐夢
1966年
         『湖の琴』                          田坂具隆
1977年
        『はなれ瞽女おりん』        篠田正浩

『雁の寺』を除いてすべてヒロインが
死ぬんですよね。

本日のヒロインは佐久間良子さん

不良性の色気....と言えば

この方と若尾文子さんが双璧であろう。

懐かしの銀幕の時代にも色っぽい女優さんは
大勢いますが、
このおふたりは

見かけのおぼこさ、純朴さ、品、

その上で、身体の中からわき出るような、
ほとばしるような、崩れ落ちるような色気

という点で、このお二人をおいて他には
おられませんでしょう。


どこかでみたような気がしますが
当時の東映社長岡田茂が佐久間さんに

言ったそうな。

『五番町夕霧楼』が受けたのは
水上さんの文学性ではない。
あなたの色気です。

それまで、東映の現代劇のお嬢様女優として
大事にされてきた。

その佐久間嬢に岡田は彼女が発する
不良性の色気を、燃えたぎるような色気を
引き出したいと語ったそう。

佐久間嬢はここで腹をくくったそうです。

五番町ではまだまだ出しきれていなかった
お色気を
『越後つついし親不知』で
100%出しきった彼女の演技は素晴らしい成果を生み出したのです。

この作品は全く正反対の二人の男の
確執の物語でもあり一方、薄幸な
おしんという女の人生の情感表現が見所である。

ものがたり

親不知の村に住む権助(三國連太郎)と
留吉(小沢正一)は冬の時季、京都伏見の
造り酒屋の蔵人として出稼ぎに来ていた。

留吉にはおしんという恋女房がいる。
権助はいまだひとりもの。

留吉は寡黙で、真面目で、働き者。
酒屋でも信頼されている。

一方、権助はいい加減な男で世の中、人をなめきっている。

信頼されている留吉が妬ましい。

12月のある日、親不知から権助に
母親危篤の知らせがきた。
雪深い越後。

家路を急ぐ権助は、雪を踏み込んで歩くおしんを見逃さなかった。

 



挨拶もそこそこに、ずかずかと人の心に入り込むことは平気な権助。

おしんが留吉嫁に来て二年余り。
美しさの増したおしんを前に権助は
欲情を押さえきれずに、雪の中へ押し倒した。

母の葬儀を終えて、伏見に戻った権助は
留吉への妬ましさと、おしんを我が物にした
おごりから、留吉に、嘘をつく。

おしんが故郷で男と姦通していると。

慌てる留吉を眺めながらほくそえんでいるのだった。

おしんの元に飛んでかえって確かめたい。
信じたい、でも.....春までは故郷に帰れない。

一方、おしんは、子を身籠っていることに
気づいた。

権助の子など産みたくない。あらゆる手を使って子を堕ろそうと試みるが、子はなにごともなく成長している。
苦しむおしん。

義母に気づかれないように、
それでもおしんはよく働いた。

春になって、留吉も権助も帰って来た。

留吉は荷物を置く間も惜しく、おしんに問いただした。
しっかり否定するおしんに留吉は安心したのであった。



田んぼや畑を二人で耕していくが、
挙動のおかしなおしんに留吉は
子が出来たと喜んだ。

他人の子などと思いもしない。
だが体調悪く、産婆に見せたことで、
自分の子ではないこと知ってしまった留吉は

田んぼのぬかるみの中へおしんの顔を押さえ込んで、息を止める結果となってしまった。

 



泥だらけの顔、身体、我に帰った留吉は
動かなくなったおしんを抱え、川へ行って
身体を洗い、筵を着せ、炭焼き小屋で
焚き火を燃やした。

1日、2日と、じっと横たわったおしんを眺め、撫でて、そこから動こうとしなかった。

が、おしんの腐敗が始まると、もうどうしようもなく、小屋ごと火を着けた留吉。

おしんを犯したのは権助だとわかっていた留吉。

権助に赤紙が来たことを母親に知らされ、
見送りの人々が、旗と共に、親不知の海岸を
行進していた。

留吉はもう、正気を失っていた。
その群れの中に入ると、
権助めがけて走り込み、一緒に
親不知の断崖からまっ逆さまに海へと
落ちて行ったのだった。

今井作品ということで、大胆な強姦シーンなどがあるのではないかと、ちょっと引いたりしたんですが、
全然
文学作品としての色が濃く、
無駄のない筋の運び、テンポ、
雪の越後の澄みきった画面、
佐久間おしんの純な美しさと
、もう所作そのものに色気があるんですよね。
今こんな女優さんいないですねえ。

素晴らしかったです。

紹介した作品群は全て、キネマ旬報の
ベストテン入りした佳作であります。

ぜひみてください。

人生劇場飛車角の鶴田浩二の情婦おとよ役で
貫禄と人気を不動のものとした
銀幕のスター・佐久間良子さん。

『五番町夕霧楼』、『越後つついし親不知』

『湖の琴』、
そして付け加えさせてもらえば、
      『細雪』の次女幸子は四人の中でただ一人
色気を感じさせる佐久間さんでした。

権助役の三國連太郎さん、こういった身勝手で
好色な男を演じるとピカイチですね。

 

役にのめりこみ過ぎて佐久間さんを怒らせたとか・

そういう役者魂!が人並みではない三国さん。

 

そして小林さんも後半は迫真の演技、①前半の三国 ②中半の 佐久間 ③後半の小林と、お三方が主演と言っていいでしょう。

水上さんがお寺の小僧さん上がりだから
作品になぜか法華経の匂いがする。

ぞれが映像化しても監督さんが違っても
みんなそんな香りがします。

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