( 安宅家の人々 )

 

こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

久しぶりに往年の銀幕の女優さん、男優さん集合の作品ーーーを

 

とりあげてみました。

 

原作は昭和26年の毎日新聞に連載された吉屋信子の小説。

 

テレビでも2008年にドラマ化されているが

 

60年以上も前の作品をドラマ化するというのは

 

其のテーマに時代を超えた普遍性があるのかもしれない。

 

いくら時代が変わっても人々の心にしみるテーマを持った作品。

 

生まれつきの精神薄弱児だが純粋で無垢な美しい心を持つ

 

安宅家の長男宗一を取り巻く人々の優しさ、汚さ、忍耐強さを

 

船越英二、田中絹代、乙羽信子、三橋達也ほか豪華な俳優陣で

 

丁寧に描いた作品です。

 

   久松静児監督  1952年度作品

 

  キャスト
安宅国子     田中絹代
安宅宗一     船越英二
安宅譲二     三橋達也
安宅雅子     乙羽信子
宇田川次枝   三條美紀
玉木雄二郎   山村聰
高橋         大泉滉
田邊         多々良純
宗一の従兄弟  小沢栄
おとく       本間文子

 

安宅家を出て行っていた次男の譲二が妻の雅子を伴って

 

舞い戻ってきたところから物語りは始まる。

 

安宅家の当主はすでに亡くなり今は長男の宗一が跡を継いでいた。

 

といっても宗一は生まれつきの精神薄弱者で家の切り盛りは妻国子が

 

担っていた。広大な家屋敷に養豚場を経営し、安宅家を護りとおしていた。

 

帰ってきた譲二は亡くなった当主の妾腹の子であった。

 

派手好きでわがままで、いい加減な男。もらった遺産も使い果たし、

 

宗一,国子の屋敷に転がり込んだと言うところだ。

 

譲二は兄宗一を馬鹿にしているが

 

それにひきかえ、妻雅子は宗一の善良さをむしろ尊敬し、やさしく普通の人と

 

何ら変わらない接し方をしていた。

 

国子の仕事にも快く協力した。

 

宗一は天使のように純真な性格で、

 

身の回りのこともある程度までは自分でできる。

 

障害のある彼のことを家の恥だと思った周囲の人々によって、

 

一日中 書斎で、与えられた知育玩具で遊ぶか

 

絵本を読んで過ごしています。

 

夫婦とはいえ、まるで母子のような国子と宗一であった。

 

忙しい養豚場での仕事の合間に国子は宗一の世話をかいがいしくこなしていた。

 

平和な暮らしでした。

 

が、宗一のロクデナシの弟・譲二はといえばなにをやってもうまくいかない。

 

狡猾で傲慢な譲二のほうがある意味、馬鹿にみえる能無しであった。

 

そんな譲二に海千山千の高橋や田辺といった男たちが取り巻いて利用し

 

なんとか安宅家からお金を巻き上げようと画策した。

 

が、しっかりものの国子がいる以上騙されることはない。

 

才能も実力もないくせに見栄っ張りの譲二に対して、

 

元軍人・玉木雄二郎の娘である雅子は上品な性格で、宗一の境遇には

 

深く同情し、譲二との夫婦生活に落胆の念を感じていることもあって

 

毎日、宗一の相手をすることに安らぎを感じていた。

 

 

そんな雅子に宗一はいつしか愛情を感じるようになったが、

 

おつむが弱いのでそれがどういったものか宗一にはわからなかった。

 

 

京都で行った、親戚一同が集まる父親の何回忌だかの法事の席で、いやいや参加し

 

た宗一に周囲の人々の目は冷ややかで、

 

国子は連れてきたことを後悔します。

 

ましてその夜、譲二が宗一を連れ出して、いかがわしい遊びに誘ったりしますが、

 

平素から一人で外出することになれていなかった宗一はさっさと

 

帰ってきたのだった。

 

譲二は、国子の妹・次枝に目をつけます。

 

次枝は、どんくさくて堅物の姉 国子と違って、身持ちは悪いし、

 

仕事はしているのかしていないのか、いつも国子に小遣いをせびっている。

 

色っぽく美人の次枝は、同類の輩、譲二と関係してしまい、

 

イタコを使って宗一を騙し譲二にお金を援助させようとした。

 

ついに堪忍袋の緒が切れた国子は

 

譲二夫妻を安宅家の屋敷から出て行ってもらうことにした。が

 

譲二ははあきらめが悪いく、今度は養豚場の従業員たちを煽って

 

ストライキをさせる手段に出た。

 

 

そして、雅子がいなくなったことで精神が不安定になった宗一は、

 

いつもそばにいる愛犬・カールと散歩している際に

 

崖から転落死してしまったのでした。

 

 

親戚一同、特に譲二は、

 

宗一がいなくなったことで強気になり

 

目障りな国子さえ追い出してしまえば、安宅家の財産は自分の

 

思いのままと

 

親戚の代表者を使って葬儀の席で

 

宗一が死んだのは国子が宗一を書斎に閉じ込めたせいだと発言し、

 

国子と譲二が養豚場を共同経営するように迫りますが、

 

国子は丸ごと遺産を殆ど宗一が世話になった施設に寄付し、

 

残りは本家に寄贈すると毅然とした態度で押し切りました。

 

 

そして国子はその施設で働くことを決めたのでした。

 

雅子も、ダメ夫譲二に愛想をつかして離婚し、

 

自立の道を目指して、国子と共に同じ施設で働こうと行動をともにするのでした。

 

 

クレジットタイトルでは乙羽さんが絹代さんをおいてトップにあります。

 

ということは乙羽さん扮する雅子が主役扱いと言うことになるのだろう。

 

ぐうたらな譲二=三橋達也さんはさて置き、

 

 

☆乙羽さんと船越さんの関係ーー

 

宗一にしてみればそれまで赤子に接するような妻国子の自分にたいする扱いに

 

比べひとりの無垢な男性として尊敬とやさしさで同等に向き合ってくれる

 

雅子に芽生える愛の形。

 

 

★絹代さんと船越さんの関係ーー

 

赤子を世話するようにかゆいところに手が届きすぎるくらい

 

大事に大事に世話をする絹代さんをまるで母親のように思っている

 

宗一の思いと国子の愛情。

 

★そして船越さんをめぐる乙羽さんと絹代さんのオンナとしての関係

 

宗一を一人前に扱ってくれる雅子の態度、思いが、うれしい反面、

 

国子は度を越した雅子の接し方にジェラシーが湧かないわけではない。

 

かといって雅子が邪魔でも憎いわけでもなく淡々と見過ごす国子。

 

雅子は国子に対してお姉さま、お姉さまと慕っていて

 

宗一に特別の愛情があるわけではない。夫譲二への失望が

 

宗一といることで救われるという微妙な思いに国子は気づかない。

 

 

汚れのない美しい心の持ち主の宗一はひとりでは生きていけないし、

 

このふたりの女性の本当の心を汲み取ることは出来ないかもしれない。

 

極端に純粋なオトコと極端に狡猾なオトコを対比させ、

 

しっかり者のオンナとお育ちの良いおっとりとしたオンナを対比させた

 

人間の有り様と言うか生き方、人間像がうまく表現されとても面白いと思いました。

 

 

 乙羽さんは後年の得意芸・・・したたかで色っぽくて・・という

 

芸風に届く前で

 

(愛妻物語)のような純でやさしい人を包み込むような役どころがなぜか

 

ピタリとはまりとてもいい感じ。

 

絹代さんは耐えるオンナもうまいが

 

市川昆監督の(おとうと)に登場するヒロインげんの義母の意地悪で陰鬱なオンナも

 

うまかった。この物語に登場する国子は覚悟して宗一の嫁になったんだなと

 

いう生き様が潔くて、こういった役はやはり絹代さんのはまり役でしょうね。

 

 

船越さんは頼りない役、するい亭主もうまいが

 

この役どころはとても良かったです。

 

黒澤作品 (白痴)に登場する白痴の青年を演じた森雅之さんと比べてみると

 

森さんのほうは病的で純粋さももっともっと色濃いものでしたが

 

船越さんはずっと自然で少年のようなかわいさがありました。

 

 

三橋達也さん・・・・うってつけの役どころでしたね。

 

(天国と地獄)での三船さん扮する権藤を裏切り、出戻ろうとする狡猾さは

 

今夜の譲二さんそのものでした。が二枚目は誰の眼にも明らか

 

晩年は西村京太郎原作のダンデイな十津川警部の役でおなじみでしたね。

 

ということで今夜はこの四方の競演でした。

 

メガホンを取った久松静児氏は東宝作品(駅前シリーズ)でお馴染みの監督ですね。

 

(注)  

壮絶な倒産をして伊藤忠商事に吸収合併された大総合商社の安宅(あたか)産業とは何の因果関係もありません。

 

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