もっともっと 今 評価され直してもいい比類なき大スター
ジェラール.フィリップ

お題は(狂熱の孤独 )

1950年代に大活躍した大スター
フィリップは 日本でも
若い女性から オトナの夫人まで
大人気だったようです。
このスターは
気品と純真さを併せ持つたった一人のスターなんですよね。
スターと言われる人気男優は
みんな共通して少し不良せいもあり危険な香りがある。
でもジェラールは品の良さが魅力。
綺麗な二枚目ですが、こんなに
上品で清潔で純粋な感じを持ったスターはこの人だけでしょう。
女たらしの役もたくさん演じたし
ヤンチャな役もたくさん演りましたが
純粋さと品は隠せません。
わたしの好きな作品は
(モンパルナスの灯)(夜の騎士道)
(パルムの僧院)、(肉体の悪魔)
(夜毎の美女)(赤と黒)

彼もまた、クロード.オータン=ララやルネ.クレール、ルネ.クレマン、
マルセル.カルネといったフランス大監督によって
悲劇、喜劇また少年のような青年、そしてプレイボーイの両極端な演技を演じ分けられる俳優に育てられたんですね。

そして
今夜取り上げます
(狂熱の孤独)はその中でも
とても好きな作品です。

彼は夭逝しましたが、、もっとじっくりと
作品を見ていただきたい俳優さんです。

最初は舞台からの役者さんで
二枚目だけではない確固たる演技力の持ち主なんです。

1922年、カンヌに生まれました。
法学士になるはずでしたが、
第二次大戦が始まり戦火を避けてやってきたカンヌでイブ.アレグレの兄
マルク.アレグレに見出され俳優学校で学ぶことになったそうです。
1943年にデビュー
日本で人気が出たのは
1947年の(肉体の悪魔)の公開からです。
1959年に没。
わずか15年余の俳優人生でした。

そんなかれの作品

(狂熱の孤独)を紹介しましょう。

サルトルの原作「チフス」を
大胆に脚色した作品。

お相手はミシェル,モルガン
1950年代とても人気のあった女優さんでジャン.ギャバンにとても可愛がられた方。


ストーリー


メキシコ、一漁村。
この町へ1組のフランス人の夫婦が観光旅行にやってきた。
夫トムが具合が悪そうで
ぐったりと座り込んで嘔吐した。
たまたまこの町へ往診に来ていた
メキシコ人の医師が診察したが
どうも伝染病に罹っているようだ。

すぐに医師の元へ運ぶ事になった。

ここに住んでいる
フランス人ジョルジュ(ジェラール・フィリップ)はアル中でいつも
ヨタヨタと歩き、この医師に付きまとい手助けをしている。

無精髭を生やし、町の皆に好かれてもいるし、バカにもされている。
すべてお酒のせいだ。
酒場で馬鹿踊りを踊って乞食のような生活をしていた。

メキシコ人の医者は伝染性の脳脊髄膜炎と診断し直ちにトムを隔離したが
死んでしまった。
一人異郷に残されたのはトムの妻ネリィ(ミシェル・モルガン)。
持金はいつの間にか盗まれ、帰るに帰れない始末だった。
夫の親に電報を打ってトムの死を告げ
送金を頼んだ。
遺体と共にフランスへの帰国を町長へ頼んだが伝染病だった遺体を出国させ
るわけにはいかないと止められ
この町で葬儀を行なった。

医者の許へワクチンが届けられ、最初にネリイがジョルジュに支えられて
腰椎注射をうけた。
ジョルジュは注射を受けようとは
しなかった。自分の分は他へ回してくれと。

トムの葬式の日、第二の患者が発生し、教会の聖器庫が臨時の隔離病棟にあてられた。
ネリイは村でただ一軒のホテルを訪ね滞在することにした。
検疫中は町を出れない。
ホテルの主人ドン・ロドリゴは彼女に露骨な好意をみせた。

ジョルジュは、久しぶりにネリイのような美しいパリ女を見、忘れていた感情のよみがえってくるのを感じていた。
医師はネリーに話した。
ジョルジュは元々優秀な医師だったが、妻がお産のせいで亡くなってしまいそれ以来酒浸りの生活をしていると。
ジョルジュはネリーに親切だった。

疫病はひろがる一方で、患者は聖器庫からあふれた。
汽車の乗客中にも患者が出て、交通は遮断寸前にあった。ネリイは復活祭の前日、現在の心境を懺悔した。

夫の死に涙も出ないこと、これからの生活が気にかかること、ジョルジュの
存在が気になることも付け加えた。


一方ジョルジュは
伝染病に罹っている子供を隔離できずに困っている医師をみて
親の目を盗んで子供を隔離病棟になっている教会へ運んだ。
患者の世話に打ちこむジョルジュに
ネリイはフランスへの帰国を促した。
が、ジョルジュは首を横に振った。
今のままでいいと。
ネリイもまた
これからの生活を考えると
孤独感に苛まされた。



医師がジョルジュに協力を求めた。
ネリイは止めたがジョルジュは
生きがいとして患者の命を救うことを
選んだ。そして途方にくれるネリイに
帰りなさい、フランスへ帰りなさいと勧めた。
孤独な者同士は求め合いながらも
それ以上にはならなかった。
ドン.ロドリゴの情婦アンナは
ホテルの中のバーを畳んで町を出た。


が破れたボロボロの靴を履いている
ジョルジュに
靴を買ってやったネリイ。
嫉妬したドン・ロドリゴが彼女に挑んだ。ネリイはロドリゴの手を逃れてジョルジュが働いている施設へかけつけた。
医師は言った。彼は見違えるように
立ち直りました。
自分の仕事場で頑張っています。
そして助手に(ご婦人を船着き場にご案内しなさい)と。
だが、ネリイはもう自分の居場所を見つけた。彼の働く浜辺の隔離所へと
駆けるのだった。
新しい靴を抱きしめて。
そして二人はしっかりと抱合うのだった。


狂熱は
暑い暑いメキシコの漁村
またそこに発生した伝染病そのもの。
孤独は
ジョルジュとネリイのことかな。