「廃校になったけど、津奈木に海の上に浮かぶ小学校があるよ」と聞いたときは、「どうせ海の近くの高台にあって、浮かんでいるようにみえるのだろう」とタカをくくっていました。

が、よくよく聞いてみると、そうではないらしい。ほんとうに“海の上”に校舎があるというのです。ということで先日、じっさいみにいってきました。
 


場所は、水俣市の北隣にある津奈木町の海沿いです。津奈木町は人口5,000人ほどの町で、1つの中学校と3つの小学校がありましたが、そのうちの1つ、「赤崎小学校」は2010年3月に児童数の減少で廃校となりました。

 

 

赤崎小学校の校舎を正面からみたところ
(写真)赤崎小学校の校舎を正面からみたところ。


うえの写真のように、正面からみるとふつうの三階建ての校舎ですが、「客船」をイメージして、真ん中の時計のある部分が斜めに煙突のようになっています。

 

 

 

 

創立百周年・新校舎落成之碑
(写真)創立百周年・新校舎落成之碑。


校舎の前にはグラウンドとプールがあり、その脇に大きな「創立百周年・新校舎落成之碑」があります。35年前の昭和51(1976)年に建てられた碑ですから、小学校は創立から135年、新校舎は35年の歴史があるということです。新校舎は、赤崎小100周年を記念して、「子どもたちの遊ぶグラウンドを広くしたい!」という願いから建てられたそうです。

 

 

 

 

表玄関
(写真)表玄関。


表玄関も、いたってふつうの造りですが、ちがうのは、ここが「2階」にあるということです。下の写真をみるとわかりますが、表玄関へは陸から橋でつながっていて、なんとその下は海なのです。

 

 

 

 

校舎の陸側
(写真)校舎の陸側。


そう、赤崎小学校は、直径2メートルほどのコンクリの支柱の上に立つ、まさに“海の上に浮かぶ小学校”だったのです。

 

 

 

 

校舎の海側
(写真)校舎の海側。
 

 

 

表玄関前・閉校記念碑に設置された航空写真
(写真)表玄関前・閉校記念碑に設置された航空写真。


うえの写真をみるとわかりやすいですが、校舎は海に向かって出航する客船のかたちで建っていて、後ろの部分に表玄関が、左側面に1階建ての別棟があり、それぞれ橋(渡り廊下)でつながっています。

 

 

小学校の前にある小島
(写真)小学校の前にある小島。


そして小学校の目の前にある島は、潮が満ちると上の写真のように海に埋もれますが、潮が引けば下の写真のように陸続きとなります。

 

 

 

 

陸続きになった小島
(写真)陸続きになった小島。

 

 

 

小島から小学校をみたところ
(写真)小島から小学校をみたところ。


この小島は先日「亀の手」「陣笠貝」(マツバガイ)「フジツボ」を採った場所で、ほかにも「ビナ」や「牡蠣」などが豊富で、島のまわりでは漁師さんが何かを獲っていました。


このように、非常に個性的で魅力的な建物、ロケーションながら、廃校となってしまった赤崎小学校。昨年9月には、この跡地を民間の事業者に活用してもらおうと公募をかけたそうですが、老朽化や耐震性の問題もあって、どこからも手が挙がらなかったそうです。

ただ、個人的には、「地域づくり」の拠点として非常に魅力を感じ、町役場の方にお願いしてなかをみさせてもらいました。

 

 

 

「丸窓」からみる小島
(写真)「丸窓」からみる小島。


陸側からだとあまりわからなかったのですが、校舎の海に面した側のいくつかの窓は、上の写真のように客船の「丸窓」のようになっています。そこからは向こうの小島もみえます。

 

 

 

 

校長室
(写真)校長室。


校舎のなかは、ほとんど使っていた当時のままで、校長室には歴代の校長先生の写真がズラーッと並んでいて、歴史を感じさせます。

 

 

 

 

図工室
(写真)図工室。

 

 

 

家庭科室
(写真)家庭科室。
 

 

海のみえる音楽室
(写真)海のみえる音楽室。

 

赤崎小校歌
(写真)赤崎小校歌。
 

 

理科室
(写真)理科室。

 

理科室の壁の研究発表
(写真)理科室の壁の研究発表。


図工室も家庭科室も音楽室も理科室も、まるで日曜日の校舎のようにそのままで、理科室の壁にはグループで取り組んだ研究発表結果が貼ってありました。以下長くなりますが、その内容をご紹介します。

赤崎の海にいる生き物調べ
3年生9名による研究

1 きっかけ
赤崎小学校は、海に面した学校である。学校のまどから魚が見えるし、いそにはめずらしい生き物がたくさんいる。その生き物について、もっと知りたくなり、調べてみることにした。

2 研究の方法
(1)海やいそで、生き物を見つける。それを写真や図で記録する。
(2)生き物の名前やとくちょうを調べる。(図かん・インターネット)
(3)自分たちの力で調べられなかったら、漁師さんや地いきの方に教えてもらう。

3 研究のけっか
※写真や図とともに、生き物の採取場所や特徴、担当者の名前が記されています。以下のような生き物が並んでいます。
みずいか(アオリイカ)、まてがい、イソギンチャク、青のり、フジツボ、カサゴ、タコクラゲ、チヌ(クロダイ)、クサフグ、かき、ふなむし、うつぼ、びな、ミズクラゲ、かめの手、タイ、アナハゼ、ウミウシのたまご、やどかり、ひとで、わたりがに、いわし、いしもち(ぐち)、あかうに、車えび、タチウオ

4 調べて分かったこと・かんそう
※9名のなかから2名抜粋
・生きている車えびのせ中は、あまりまがっていないのに料理をすると、まがってしまうのはふしぎだと思いました。赤崎でつかまえたのは、1cmくらいだったのに、大きいのは、28cmくらになると分かって、驚きました。
・ウニはとげがあってクリの実みたいにいたそうに見えるけど、そんなに先がとがっていないので、あまりいたくないということが分かりました。中に入っている黄色いところを食べていることが分かりました。

5 生き物がいっぱいの海を守るために
(1)ゴミを海にすてない。
(2)せんざいや石けんを使いすぎない。
(3)川は海につながっている。だから川にゴミをすてない。
(4)あぶらを流さない。
(5)絵のぐやすみを海に流さない。
海がよごれると赤潮になりやすいので、海を守るために(1)~(5)のことにとり組みます。

これをみて、思わず目頭が熱くなるじぶんがいました。なお、ウニは「ガンガゼ」ではなく「赤ウニ」とあることは、着目すべき点だと思います。いつ実施したか気になります。

 

 

 

屋上からの眺め
(写真)屋上からの眺め。


町の担当者の方のお話しだと、耐震性調査の結果が春には出て、それを受け、地域住民と協議して身の振り方を再検討するそうですが、最悪の場合は取り壊しもやむなし、とのことでした。

水俣市内でもそうですが、いま日本中では、続々と廃校が出ているにもかかわらず、同じように「耐震性」や「財政負担」の問題で、活用法どころか存廃のメドすら立っていないところが多いのではないでしょうか。

海の上に浮かぶ小学校・赤崎小は、これからどうなっていくのでしょうか?