1年半ぶりの、生の名和晃平作品をTRAUMARISで観た。
初・TRAUMARIS。
囁く声もみんな聴こえてしまうぐらいの空間はプライベートな空気で、
ギャラリーなんだから自由に観ればいいとは思っても…緊張した(笑)
そして・・・


作品が近い近すぎる(汗
このテンションの中に1日じゅう居るなんて相当な体力が必要だ。
倉庫の扉も塞いで、さらに厨房の中にまで設営してあったし、
オーナーの住吉さん、
「ウチに帰ったとたん、なんだかわかんないけど涙が流れて止まらなくなったりして、
全然癒されないのよw!」と仰っていたけれど、でしょうね~と。

「名和君の作品、泥臭いでしょ?」「だって名和君センスないじゃん!」等々、
お付き合いの長さ深さを物語る、愛ある発言の数々にも爆笑!
(ちなみに前発言は、なぜ彼の作品はひっかかってくるのか。後発言はアートの役割は
癒し?安らぎを与える?そういう類を制作するには… という流れだったと。
時間が経っちゃったのでちょっとおぼろげ。。)

観る前の妄想あれこれは以前に書いた。 
実際に見てみて、TRANSはネット等で画像を見ていたときには、もしかして名和さん、
イメージでなく実際に、人や物の変容が、目で見えちゃってるのでは…?などと、
超妄想が膨らんだりもしたのだが(笑)、たしかに研ぎ澄まされた空気を醸しだしてもいたけれど、
もっと遊びの感覚、ユーモアを感じて、DIRECTIONのテンションをおもしろい具合に
崩して、かき混ぜていた。
(DIRECTIONにとっての"ノイズ"?、"トリックスター"?、に、なってる感じ)


DIRECTIONは「宇宙」、というとあまりにも陳腐な表現だけど、上もなく下もなく、
キャンバスの外側に無限に伸び続けるストライプがイメージされた。
見る前から、なぜか作品の外側により多くの意識が向けられていたけども、
実際に目の前にして、イメージよりもっとキャンバスの外側へ、奥深くへ広がる空間を感じ、
2次元なのに3次元を見ているユニークな感覚があった。
つまり私の頭の中ではドローイングと彫刻が同時に存在していた。
一つのものを見ながら2つを体験したということ。

片方の目を瞑って立体視するように注視すると線が3Dになって、
不思議な奥行きができておもしろかった!
そうしたら今度は3次元グリッドの空間内に、様々な太さの、無数の線がランダムに
森のように立っているイメージが浮かび、そして、
そのストライプを浮遊した視点を移動させて様々な角度から眺めようとイメージしたけど…
脳がじりじりオーバーヒートして、車酔いしたみたいになってしまった。。ヘタレ。。

あの展示の中では、入ってすぐ右の、黒の分量が最も多いDIECTIONが1番好きだった。
とてもとても遠くの彼方から、 …キン …キン という金属的なPulse音が聴こえて来る・・・
そんなふうに、私の脳はイメージした。
無理やりイメージしたわけでなく、見ていたら「ん?なんか聞こえてる?」という感じ。

それにしても、あれがマスキングなしと知って本当に驚き。
キャンバスに絵の具があんな真っ直ぐ落ちるなんてすごい。
Synthesis展のライブドローイングも思い出した。
粘度など、かなり研究されたんだろうな。 黒の色艶も美しかった!
この日はトークイベントが組まれていて、ゆる~いディスカッションに
私も加わらせていただいて、とても刺激的で楽しい時間を過ごせて嬉しかった。
仙台ではこんなに自由にアートについて話すことがないから。
とてもとても幸せな夜だった。

 



そうそう。DIRECTIONは「マンガ皿!」、TRANSは「溶解したポール牧」という説もw


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名和晃平HP http://www.kohei-nawa.net/ 
SANDWICH  http://sandwich-cpca.net/
TRAUMARIS http://traumaris.jp/