平成24年度税制改正大綱が平成23年12月10日に閣議決定されました。
まだ法案化の段階ではありますが、例年この税制改正大綱の内容のまま法律になっています。

しかし、今年はもう一つ「社会保障と税の一体改革」の素案も平成23年12月30日に発表されて法案化を目指していることから、税制改正の内容がかなり複雑となっています。

そこで今月は平成24年度税制改正大綱の確認をいたします。
(なお、主な改正項目のみを記載しています。)


1. 個人の改正事項

【 所 得 税 】

◆給与所得控除
→ 給与の収入金額が1,500万円超の給与所得控除額は245万円が限度

◆特定支出の範囲
→ 次に掲げる支出を追加

④職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
⑥職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の費用及び職務に通常必要な交際費(これらの合計額は65万円を限度)

◆特定支出控除の計算
→ 特定支出の合計額が以下の区分に応じそれぞれ次に掲げる金額を超える場合には、その超える金額を給与所得控除額に加算する

◎給与の収入金額が1,500万円以下
その給与所得控除額の2分の1の金額

◎給与の収入金額が1,500万円超
125万円

◆特定支出控除の計算
→ 役員等の勤続年数が5年以下の者については、2分の1をしない

◆住宅借入金等特別控除
→ 【新設】
低炭素まちづくり促進法(仮称)に規定する一定の住宅の新築等をして平成24~25年に居住した場合における住宅借入金等の借入金残高の限度額と控除率は以下のとおりとする

◎平成24年居住
・控除期間 10年
・借入金残高 4,000万円
・控除率 1.0%

◎平成25年居住
・控除期間 10年
・借入金残高 3,000万円
・控除率 1.0%

◆国外財産調書制度
→ 時価の合計が5,000万円を超える財産を国外に有している居住者は、その財産の種類、数量及び価額等を記載した調書を、翌年3月15日までに税務署長に提出しなければならない。

◆国外財産調書制度にかかる過少申告加算税等の特例
→ 国外財産に関する申告もれ等がある場合の加算税について、調書にその財産の記載がある場合には、その記載のある部分に係る過少申告加算税(10%、15%)又は無申告加算税(15%、20%)については、申告もれ等にかかる所得税の5%相当の金額を控除する

→ なお、調書の提出がない場合又は申告もれ等に係る財産が掲載されていない場合には、その部分に係る過少申告加算税又は無申告加算税については、申告もれ等にかかる所得税の5%相当の金額を加算する

【 相 続 税 】

◆連帯納付義務
→ 次の場合には、相続税の連帯納付義務を解除する
・申告期限等から5年を経過した場合
・納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合

◆国外財産調書制度にかかる過少申告加算税等の特例
→ 国外財産に関する申告もれ又は無申告がある場合の加算税について、調書にその財産の記載がある場合には、その記載のある部分に係る過少申告加算税(10%、15%)又は無申告加算税(15%、20%)については、申告もれ等にかかる相続税の5%に相当する金額を控除する

【 贈 与 税 】

◆住宅取得資金等の贈与の特例
→ 直系尊属からの贈与により取得した住宅取得資金につき

◎省エネルギー性・耐震性を備えた住宅の場合
・平成24年 1,500万円
・平成25年 1,200万円
・平成26年 1,000万円
までは非課税となる。
(東日本大震災の被災者は平成24~26年において1,500万円まで非課税)

◎上記以外の場合
・平成24年 1,000万円
・平成25年 700万円
・平成26年 500万円
までは非課税となる。
(東日本大震災の被災者は平成24~26年において1,000万円まで非課税)

(表省略 → 詳細はこちら)


2. 法人の改正事項

【 法 人 税 】

◆環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)
→ 対象資産を、太陽光発電設備や風力発電設備など再生エネルギー特別措置法の認定設備で一定規模以上のものに限定。

→ 平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間に取得し事業の用に供した場合には、即時償却できる。

◆過大支払利子税制

①概要

法人の関連者に対する純支払利子が調整所得金額の50%を超える場合には、その超える部分の金額は損金不算入となる

※純支払利子=【関連者に対する支払利子等】-【関連者に対する受取利子等】

②関連者の範囲

その法人との間に直接・間接の持分割合50%以上の関係にある者及び実質支配・被支配関係にある者など

③調整所得金額

【当期の所得金額】+【関連者に対する純支払利子等】+【減価償却費等】+【受取配当等の益金不算入額等】±【貸倒損失等の特別損益】

④適用除外

・関連者に対する純支払利子等の合計額が1,000万円以下

・関連者に対する支払利子等の額が総支払利子等の額の50%以下

◆復興支援措置

福島復興再生特別措置法(仮称)の制定を前提として、以下の措置が講じられる

◎福島県全域
・復興産業集積区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度
・復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度
・復興産業集積区域において開発研究用資産を取得した場合の特別償却制度等
・再投資等準備金制度
・再投資設備等を取得した場合の特別償却制度

◎避難解除区域
・機械等を取得した場合の特別償却又は特別控除制度
・被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度

(表省略 → 詳細はこちら)


3. 地方税の改正事項

【 固 定 資 産 税 】

◆負担調整措置
→ 住宅用地に係る固定資産税の据置特例を廃止

ただし、平成24~25年度については経過措置として以下のとおりになります。

◎負担水準 < 90%
固定資産税の増加

◎90% ≦ 負担水準
固定資産税の据置

※負担水準=【前年度の課税標準額】÷【本則課税標準額(課税標準額×1/6又は1/3)】

(表省略 → 詳細はこちら)



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平成23年度税制改正は、東日本大震災や、いわゆるねじれ国会の等の影響もあり、通常とは異なる複雑な経緯で改正がされております。
2回の改正のうち、今回は平成23年11月30日成立、12月2日公布された2つの改正法について、改正項目を列挙いたします。

なお紙面の都合上、すべての改正項目を記載しているわけではなく、また国税についての改正事項の記載のみとなっています。
(平成23年6月22日成立、6月30日公布された改正法については、Higuchi-Tax News 2011年7月号No.019を参照ください。)


1. 平成23年度税制改正の経緯


秋葉原の税理士 樋口税理士事務所のブログ ~ A Light in the "Tax" ~-23年税制改正経緯


2. 国税通則法の改正事項


◆税務調査手続きの見直し
・税務調査の開始時に原則として事前通知を行う(明文化)
・税務調査の終了時点においても、更正、決定等をしない場合にはその旨を記した書面により通知(明文化)


◆更正の請求期限の延長
5年(贈与税は6年)


◆増額更正期間の延長
5年

(表省略 → 詳細はこちら)


3. 所得税の改正事項

◆復興特別所得税
原則として、所得税の額×2.1%   (平成25年~平成49年分の所得税)


◆定率法の償却率
定率法の償却率=定額法の償却率の200%   ※ただし、経過措置が設けられる


◆申告要件の規定がある制度の見直し
下記の規定は、申告要件を削除する
・給与所得者の特定支出制度の特例
・資産の譲渡代金が回収不能になった場合等の所得計算の特例
・純損失、雑損失の繰越控除
・外国税額控除 など


◆当初申告書の記載金額上限の見直し
下記の規定は、当初の申告書に記載した金額を上限とする措置を廃止する
・青色申告特別控除
・電子申告特別控除

(表省略 → 詳細はこちら )


4. 相続税・贈与税の改正事項

◆申告要件の規定がある制度の見直し
配偶者に対する相続税額の軽減の規定と贈与税の配偶者控除の規定は、申告要件を削除する

(表省略 → 詳細はこちら )


5. 法人税の改正事項

◆税率
普通法人=25.5%
中小法人等=19%(800万円以下は15%)
公益法人、協同組合等=19%(800万円以下は16%)


◆復興特別法人税
原則として、法人税の額×10%
(平成24年4月1日~平成27年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度から3年間)


◆定率法の償却率
定率法の償却率=定額法の償却率の200%   ※ただし、経過措置が設けられる


◆欠損金等の繰越控除金額
中小法人等以外の法人については、控除限度額は、控除前の所得金額×80%とする


◆繰越欠損金等の控除期間
繰越控除期間=9年


◆貸倒引当金制度の適用法人
中小法人や銀行・保険会社等に限定  ※上記以外の法人には経過措置あり


◆貸倒引当金の割増率
112%(公益法人等・協同組合等のみ)


◆一般寄付金の損金限度額
(資本金等の額×0.25%+所得金額×2.5%)×1/4


◆申告要件の規定がある制度の見直し
下記の規定は、申告要件を削除する
・受取配当等の益金不算入制度
・外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度
・国、指定寄付金等の寄附金の損金算入制度
・所得税額控除、外国税額控除 など


◆当初申告書の記載金額上限の見直し
下記の規定は、当初の申告書に記載した金額を上限とする措置を廃止する
・試験研究を行った場合の特別税額控除
・中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除
・雇用者の数が増加した場合の特別税額控除 など

(表省略 → 詳細はこちら )


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 平成23年度税制改正により、平成24年4月1日以後開始する課税期間から、その課税売上高が5億円を超える場合には、課税売上割合が95%以上であったとしても、課税仕入れに係る消費税額が全額控除できず、その消費税額の一部しか控除ができないことになります。

いわゆる「95%ルール」が適用できなくなりますので、事前に経理処理の見直しなどの対応が必要となりますから注意しましょう。

1. 消費税の計算方法

消費税の納付税額の計算は、課税売上げに係る消費税(仮受消費税等)から課税仕入れに係る消費税(仮払消費税等)を控除します。

この際に控除する課税仕入れに係る消費税を仕入控除税額といいます。

消費税の納付税額 = 課税売上げに係る消費税 - 課税仕入れに係る消費税(仕入控除税額)

2. 改正前の内容

簡易課税制度の適用を受けない場合の改正前の仕入税額控除の計算は、課税売上割合が95%以上のときは、課税仕入れに係る消費税の全額が控除できますが、課税売上割合が95%未満のときには、「個別対応方式」又は「一括比例配分方式」のいずれかによりに計算することになります。

秋葉原の税理士 樋口税理士事務所のブログ ~ A Light in the "Tax" ~-消費税95%ルール(改正前)

(1) 課税売上割合

秋葉原の税理士 樋口税理士事務所のブログ ~ A Light in the "Tax" ~-課税売上割合

(2) 個別対応方式

その課税期間中の課税仕入れ等について、

①課税売上げにのみ係るもの、
②非課税売上げにのみに係るもの、
③課税売上げと非課税売上げに共通して係るもの、

明確に区分されている場合には、以下の算式により計算した金額が仕入控除税額となります。

仕入控除税額 = ①に係る消費税額+(③に係る消費税額×課税売上割合)

(3) 一括比例配分方式

一括比例配分方式は、上記①~③に明確に区分されていない場合、又は個別対応方式が適用できる場合であっても一括比例配分方式を選択した場合に適用ができます。

この場合は以下の算式により計算した金額が仕入控除税額となります。

仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る消費税額×課税売上割合


なお、一括比例配分方式を選択した場合には、一括比例配分方式を2年間以上適用した後でなければ、個別対応方式に変更できません。

3. 改正後の内容

 簡易課税制度の適用を受けない場合、平成24年4月1日以後開始する課税期間から、その課税期間の課税売上高が5億円を超えるときは、課税売上割合が95%以上であったとしても、仕入控除税額は「個別対応方式」又は「一括比例配分方式」のいずれかで計算しなければなりません。

秋葉原の税理士 樋口税理士事務所のブログ ~ A Light in the "Tax" ~-消費税95%ルール(改正後)


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