母がなくなったその日は
葬祭場に家族で泊まった。
布団に横たわる母と一緒に休んだ。
通夜、葬儀と滞りなく終わり
次の日、姉家族が一番に帰ることに。
盆、正月と帰省の時は
姉妹でタイミングをあわせ、いつも皆が集い
帰る時は残ったもの全員で
車が見えなくなるまで手を振って見送るのが
我が家の恒例行事。
最後の最後まで、わいわい賑やかだ。
いつものように、姉家族を見送った。
振り返って玄関の扉を見ると
なんと蛍が一匹止まっていた。
ここに20年以上いるけれど
蛍なんか見た事ない。しかも9月。
「お母さんが見送りに来てくれたんだ」
咄嗟に思った。その蛍を静かに手に取り
「お母さんがいつものように見送りに来てくれたよ」と、皆に蛍を見せた。
蛍は私の手の中で静かに光っていた。
「お母さん来てくれてありがとう。」
感謝を伝えて蛍を空に放った。
すると、どこからかもう一匹蛍が飛んできた。
「おばあちゃんがお母さんを迎えにきてくれた!」素直にそう思った。
2匹は仲良く合流し空高く飛んで行った。
見えなくなるまで見送った。
勝手な思い込みかもしれない。
でも幸せだから良いのです。
今日も、おばあちゃんとお母さんと
繋がっています。