一日目の宿泊地@油麻地、上海街ちかくの市場にて。
どの街に行っても、一番好きな場所は市場かも。
今回の旅の踏み出し先である「香港」に初めて行ったのは、
確か、大学四回生の夏だった。
天気予報では
出発日には、なんと関空付近に台風が上陸するとの情報だったので、
数日前に旅行会社に電話で問い合わせたら、
仮に飛行機が欠航になるとしても、ツアーのキャンセルにまつわる最終判断は空港で行う、と説明を受けた。
今でもこんなルールなのかな。
そのときは学生だったので、そんなものかと思ったけれど
今思えば随分な扱いだなあ。。。
台風の勢いは日に日に増して、上陸も間違いないと思われた。
これは飛ばないに決まってるよ、と
ハンドバック一つに最低限の物だけ詰めて遊びがてら空港に行ったら、
なぜか自分の乗る便だけ飛ぶことになった。
風の強さではなく、風に対して飛行機がどう進行するかの方向が問題なのだそう。
追い風になる一方向だけが飛行可能、それがたまたま私の乗る便だという。
ほとんどの便が欠航する中ラッキーでしたね、と言われても、
私にとっては心底皮肉な話。
不安を解消するいろいろな準備や支度もままならず、失意の初香港入り。
9月末の香港は、まだまだ真夏。
あてがわれたホテルは”上環”というエリアにあり、
そこは魚介を含めた乾物の店が並ぶ街だった。
私は暑気と湿度とその臭いに旅中を通して吐き気が止まらず、
目に入るすべてが自分の体調を悪化させる敵に思えた。
香港にまで行ってマクドナルドに頻繁に通い、
もう二度と行くものか、と帰国したのを良く覚えている。
当時の私は、新しい物や事に対する好奇心よりも
自分の居場所を確保することのほうが勝っていたのだと思う。
だから、どこか知らないところに行くと必ず
今まで見たことのあるものや自分の知っている物を探していた。
要は、それだけ自信がなくて、怖がりだったということ。
新しい物に出会うことによって、逆説的に自分の居場所や立ち位置が見つかるような
そんな素敵な旅の仕方を知るのに、10年ちかくかかった。
二度と、と思った香港に5回も6回も来るようになるなんて。
なるべく裸の状態、裸の目をもって旅に出たいと思えるようになるなんて。
人間が、時間と経験を経て成長していくことの面白さを、自分を通して知る。
やっぱり経験を積み、年を重ねることって素晴らしい。
@尖沙咀の老舗レストラン「滬江上海」
12月27日の夜のごちそう。
次の日にタイに飛ぶため、一泊だけの香港。
香港の友達、エンリコの両親がみんなを集めて開いてくれた食事会にて。
翌28日、夜の便でバンコクへ。(続く)


