9月にご紹介した映画「マッドマックス 怒りのデスロード」の前日譚アメコミシリーズ第一巻「Mad Max Fury Road Nux and Immortan Joe #1」の後半、イモータン・ジョーが砦を築くまでのエピソードをざっくり和訳してみたいと思います。とは言え結構長いので、本当にざっくりと細かい部分は省略して訳してますが。

前日譚アメコミ
戦争で世界がボロクソになった後、先の戦争の英雄で元軍人のジョー・ムーア大佐(後のイモータン・ジョー)は部下のカラシニコフ少佐(後の武器将軍)と共にバイカーチームを結成して各地を放浪しながらハードコアなサバイバルを繰り広げ、徐々に仲間を増やしていきました。

前日譚アメコミ
ある日一団は特殊警察が捕虜を虐殺しているところに出くわし変なデブ(後の乳首いじり男爵)を発見。一時は殺そうと思う大佐でしたが、デブ曰く「水がある場所を知ってるんで案内します」と。早速彼を道案内に移動することにしました。

前日譚アメコミ
デブの言うとおりに移動したら確かに地下水が湧き出ているデカい岩山を発見!しかしそこには既に別の荒くれ者の一団が巣食っていました。とりあえず捕虜の女と水の物々交換交渉を試みる大佐。

前日譚アメコミ
大佐は話しかけます。「なあ兄弟、未来を考えよう、後世に残せる遺産を」。ところが荒くれ者達は全員ノーフューチャー精神の塊なので全く聞く耳を持ちません。それどころか大佐の部下と捕虜の女を撃ち殺してしまいました。

前日譚アメコミ
しょーがねえこりゃ力で獲るしかねえ!と作戦を立てる大佐。しかし地形的に圧倒的に不利なため砦に侵入するどころか近付くことすらままならなりません。

前日譚アメコミ
何だかんだあってやっと砦に侵入するロープを掛けることに成功し、ジョー・ムーア大佐自身が僅かな手勢を引き連れて突撃!しかし多勢に無勢なので味方はどんどんやられていきます。

前日譚アメコミ
殺された手勢は逆さ吊りに見せしめにされ、その数は時間が経つごとに増えていきました。しかし大佐からの合図は一切なし。こりゃもう絶望的だと皆が思った瞬間…




獲ったどー!と出てくる大佐。「生きてた!」「死の淵から蘇った!」「不死者だ!」と手下大歓喜。以降大佐は手下からイモータン・ジョーと呼ばれるようになりました。

前日譚アメコミ
岩山を奪取した一団は早速そこを強固な砦にするための開拓・整備に着手しました。使えそうな物は何でも使い、井戸を掘り、水耕栽培を始めました。

前日譚アメコミ
するとその噂が荒野に広まり、水や食料と何かを交換したい人々が自然と集まり物々交換市場ができました。

前日譚アメコミ
住民が増えてきたので、イモータン・ジョーは彼らの中から人材登用も行うようになりました。

前日譚アメコミ
さらに病弱な子供・若者を集めて洗脳を施し忠実な兵士として育てました。

前日譚コミック
こうして堅牢な砦を建設したイモータン・ジョーでしたが、たった一つ「ちゃんとした跡継ぎがいない」ことだけが悩みの種でした。彼には3人の息子がいましたが、一人はサイコパス、もう一人は知的障害、さらに一人は身体障害と何かしらの障害を抱えていました。

前日譚アメコミ
そこで彼は心身共に健康な後継者を得るため、砦の一区画に清浄な空気と水で満たされた部屋を作り、そこに純粋で健康な女を集めて妻にし子作りに励みましたが、生まれてくるのは”失敗作”ばかりでした。

前日譚コミック
”真のリーダーは己が強くなるために他者を必要としない。真のリーダーは他者に自立する力を与える”

これを読んで改めて映画を見ると、「あれってこうだったからか!」と新たに気付く部分もあるだろうし、イモータン・ジョーのイメージもまた変わるんじゃないかと思います。例えばイモータン・ジョーと同世代と思しき武器将軍や乳首男爵がなぜブツクサ言いながらも最後まで彼に従ったのか?そりゃリーダー自らが突撃して攻略拠点を奪取したら誰でも心酔するでしょう。また、それを目撃しなかった新しい世代の手下を手際よく手懐けるために適当な宗教をでっち上げて洗脳するのも上手い手段と言えます。

なお、コミックではイモータン・ジョーの息子は「3人」となっていますが、映画に登場しなかったサイコパスの奴は「スクロタス」という名前で、これまた映画の前日譚を描いたゲーム版「マッドマックス」のラスボス。彼は彼で別の町の支配を担当しています。

スクロタス
知能と身体に障害はないものの残忍な性格という設定。なぜならサイコパスだから。

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ということは、マックスは映画の前に既にジョーの子供を1人殺っていたということになります。もうイモータン・ジョーの人生ボロクソ過ぎ。がんばってどうにかこうにかまとまった町を作ったのに健康な子供が育たず、一番仕事ができそうな息子に暖簾分けしたらフラリとやってきた風来坊に殺され、さらに嫁と部下に裏切られ、自分で運転する車で臨月の嫁を轢いてしまい、その結果健康に生まれるはずだった息子が死に、挙句自分も殺され革命を起こされるとは。勝者が誰もおらず皆被害者なのがディストピア世界。

ちなみにこの次の巻では嫁5とフュリオサが逃亡を決意するまでのエピソードが描かれるのですが、それを考えると本エピソードの最後の言葉”真のリーダーは己が強くなるために他者を必要としない。真のリーダーは他者に自立する力を与える”は実に皮肉です。

ところで、この前日譚アメコミですが遂に日本語版の出版が決まったそうです。しかも前日譚アメコミ全巻と65人のアーティストの二次創作絵をまとめた画集を全部一冊にまとめた豪華本になるとのこと。なんだこのボリューム!発売は12月で価格は3,240円。内容と日本語翻訳の手間を考えたらかなりお買い得なんじゃないでしょうか。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(GRAFFICA NOVELS): COMICS & INSPIRED ARTISTS

↑ これ。Amazonでもう予約できるようになってました。



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