小野上 明夜, 岸田 メル
死神姫の再婚 (B’s‐LOG文庫 (お-3-01))

【旦那様、お買い上げありがとうございます!

没落貧乏貴族の娘で14歳・天然系のアリシアは、
後見人の叔父により借金の返済と持参金目当てのために家名が欲しい金持ちへ嫁ぐが、
なんと結婚式の途中新郎が急死してしまう!!

この『事件』がもとで『死神姫』と呼ばれてしまったアリシアだが、なんと再婚話が持ち上がった。
相手は新興貴族の成り上がり者でとかく噂のある〈強公爵〉ライセン。
馬車に揺られて着いた先は、恐ろしげな装飾を施された屋敷と結婚相手ライセンの愛人と
主張するメイドのノーラ!?
彼女の前にどんな未来が待ち受けているのか!】


初っ端から、あ、これ好きそう。と思いました。
だって教会で式を挙げる直前の旦那さん(権力目当て)の人が死んで「あらまぁ」ですよ。
素敵だ。あえて「そんなに美人じゃない」という描写をするのも面白かったです。

怖いものとお金が大好きなアリシアと、
冷酷で残虐ともっぱらの評判のカシュヴァーン。

カシュヴァーンは物語の中でその性格が段々明らかになっていくんですが、
アリシアの場合は16ページ「お金持ち、贅沢……すてきな言葉だわ」という言葉から解るように、嫁ぎ先がおどろおどろしくて喜ぶようなそれに小説を重ねちゃうような女の子です。
いつも眩しい笑顔を話すのが「怖い話と金」。

アリシア付きのメイドはカシュヴァーンの愛人で、
血筋を目当てにアリシアを買い取った名家レイデンの当主・ティルナード、
その後見人・ユーランと共に殴りこんできたり、
かと思えば夫の言いつけを破りアリシアは森の中で迷ったり、
カシュヴァーンの幼馴染・トレイスと、陽気な暗殺者・ルアークも登場。

ユーランは<翼の祈り>教の聖職者で、
予想は出来たにしろ、よく皮を被っていたなそこで脱ぐか、という印象。
ティルナードは最初から最後までかませ犬なのに、
どうしてどうして偶にヘタレるときや、わざわざ一騎打ちを申し込む所など、
一本気なところがあってよかったです。
トレイスとユーランの一件は急ぎすぎた(ページ足らず)だと思うし、
暗殺者も暗殺者で寝返ったり寝返り返したりしますけれど、
人懐こい彼もある意味これからカーシュを変えてくれそう。

何度かアリシアの頭を撫でるのですが(作中で唯一の触れ合い)
段々柔らかくなっていくカシューが可愛かったです。
「三十三歳くらいだと思いましたわ!」は吹き出しました。確かに具体的だ。
肥料要らずの件もそうでしたが。

裏に流れる新貴族、旧貴族も含め、是非続刊をとお願いしたいです。
ペンネーム素敵だなー(特に名前


第1回B's-LOG文庫新人賞優秀賞受賞、
第9回えんため大賞ガールズノベルズ部門奨励賞受賞作